横浜Mで2年目となった2021年。前田大然(セルティック)は別人になったかのように変わった。 ポジショニングが重要になる横浜Mの高度なパスサッカーの中で、役割を理解。持ち前の爆発的なスピードを生かして得点への絡み方が明確となり、23ゴールを量産して初の得点王になった。「前への推進力、駆け引き、ここに入れば(相手は)怖いんだというのが、マリノスに来て上達した」 そのスピードが発揮されるのは、攻撃だけではない。ボール保持者に圧力をかける献身的な走りは前田の代名詞だ。得点王に輝くと共に、一定の速度以上で走る試合別スプリント回数は上位20位のうち16を占めた。 確かな自信を胸に今年1月、横浜M前監督のポステコグルー氏が指揮を執るスコットランドの名門へ。得点数では同僚の古橋亨梧に及ばないが、無尽蔵のスタミナで走り回ってチームに貢献。代表でも9月の米国戦で守備のスイッチ役として機能し、カタール行きの切符を手にした。 プロ生活のスタートはJ2。松本や水戸でプレーし、武者修行でポルトガルにも渡った。山梨学院高時代、人間関係のトラブルでサッカーから離れた時期があった。母の幸枝さん(54)は「いろんな人が大然のために動いてくれたから、そういうのが分かる子になった」と変化を語る。 苦労を重ねたからこそ、今のプレースタイルがある。「チームのためにゴールを取りたいし、チームのために走りたい」。25歳は身を粉にして、大舞台のピッチを駆ける。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕国際親善試合の米国戦、競り合う前田(右から2人目)=9月23日、ドイツ・デュッセルドルフ(dpa時事)