新体制の顔は誰か。それを予感させたのは、やはり村上だった。最年少三冠王が任されたのは4番指名打者。迫力ある一発を放ち「すごく緊張したけど、勝ててよかった」。堂々の風格だった。 変則投手も苦にしなかった。4―3の六回に先頭で打席へ。右下手投げの鈴木が投じた内角直球を、右翼席中段へ軽々と運んだ。「国際大会ならではの投手もいると思う。しっかり準備したい」。WBCを見据え、手応えを得た様子だった。 自らの立場は変わった。昨年の東京五輪では5試合全てで8番。今季は日本選手最多の56本塁打を放ち、栗山監督は「(4番と)最初から決めていた。球界を背負ってほしいから」。その期待に村上は「誰でも打てる打順ではない。誇りに思っている」との思いで応えた。 チームとしても上々の結果だ。初代表の牧は今季DeNAで未経験の一塁手を無難にこなし、近本は二盗で俊足を発揮。適性を探るテストと新顔のアピールが両立し、「課題もあるが、力があることも分かった」と栗山監督。WBCで3大会ぶりの世界一奪還へ、実りある船出となった。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕日本ハム戦の6回、ソロ本塁打を放つ日本代表の村上=5日、東京ドーム