【ミシサガ(カナダ)時事】右足首負傷で昨季全休したフィギュアスケート女子の紀平梨花(トヨタ自動車)が、10月下旬のスケートカナダでグランプリ(GP)シリーズに復帰した。自己ベストに50点近くも及ばず184.33点で5位。万全の状態ではないものの、2018年にGPファイナルを制した実力者は「やってきたことを出せたのは次に生きる」。着実に一歩を踏み、表情は明るい。 氷上練習再開は2カ月前。以前はトリプルアクセル(3回転半)や4回転サルコーを決めていたが、ジャンプの種類を制限し、難度を落としたプログラムに取り組んできた。それでも、久しぶりにGPのリンクに入ると気持ちが高ぶった。「以前の雰囲気を思い出す」 公式練習では、それまで控えていた3回転のフリップやルッツを跳ぶそぶりも。9月下旬の中部選手権、10月上旬のジャパン・オープンで跳ばなかった連続3回転は、ショートプログラムで復帰後初めて組み込んだ。 今も滑った後は足首に痛みが出る。高難度の構成には挑めていないが、「少しずつ積み重ねてきたものはある。その時の100%を出すのは大事な経験」。過去の大会を思い出し、丁寧な滑りに集中した。緊張の中で力を出し切れたことに、何度も手応えを口にした。 氷の上に立てない時期を経験し、精神的にも強くなったと笑顔で話す。「少しの我慢や苦しさはなんともない。できることをしっかり積んでいきたい」。次のGPは今月下旬のフィンランド大会。「構成もジャンプも(難度を)上げていきたい」と意気込んでいる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケートのGPシリーズ、スケートカナダ女子フリーの紀平梨花=10月29日、カナダ・ミシサガ(AFP時事)