華麗なパスサッカーで一時代を築いたスペインは、着実に世代交代を進めてきた。イニエスタやシャビらが君臨した黄金期と比べれば見劣りする顔触れだが、世界の潮流に合わせて進化。ボール保持の戦術を軸としつつ、昨年の欧州選手権では縦に鋭い攻撃も取り入れて4強入り。かつての姿とはひと味違う。 ルイスエンリケ監督は若手を登用。共に今大会注目の若手となる19歳のペドリ、18歳のガビを擁する中盤は、パスをつなぎながら機を見て一気に相手を崩しにかかる。昨夏の東京五輪に出場したGKシモンはA代表でもシュートストップが光る。 スペインは攻守の早い切り替えで、ボールを失ってもすぐに奪い返しにかかってくる。日本は簡単に失うと鋭いカウンターの餌食になる。プレスをかいくぐり、効果的な速攻につなげられるかがカギとなる。できるだけ無失点で粘り、三笘(ブライトン)ら切り札の投入で少ない好機を生かせれば理想的だ。 9月の欧州ネーションズリーグでスペインはスイスに1―2と敗戦。失点はCKからだった。日本にとっては攻略の糸口となりそうだが、国内組で臨んだ大会を除くと昨年6月のW杯アジア2次予選のキルギス戦以降はセットプレーでの得点がない。本番までの短い時間で細部を詰めたい。 スペインとは東京五輪の準決勝でも当たり、延長戦で屈した。同国で活躍する久保(レアル・ソシエダード)らにとってはメダル争いで苦杯をなめた因縁がある。第2戦までの結果次第では相手がメンバーを落としてくる可能性もあるが、日本にとっては1次リーグ突破に向けた大一番になるだろう。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕スペインの中盤を担うペドリ(手前右)=9月24日、スペイン・サラゴサ(EPA時事) 〔写真説明〕スペインの中盤の新たな顔、ガビ(右)=9月24日、スペイン・サラゴサ(EPA時事)