ヤクルト黄金時代の1990年代に1度だけなし得たリーグ連覇を、就任3年目の高津監督が再現してみせた。2軍監督時代を含め6年。勝利と育成を両立させ、常勝軍団への礎を築いた。 若手を育て上げることを監督は「一番は我慢。我慢比べ」と表現する。「彼らが音を上げるのか、僕らが見切るのか、いつまで使い続けるのか」。成長過程にいる選手の伸びしろなどを判断することの難しさを口にする。 高卒1年目の選手は基本的に、まず2軍の試合でじっくり経験を積ませる。プロで戦う土台をつくってから、できる限り1軍でチャンスを与え、結果を出してくれることを願う。 王貞治(巨人)に並ぶシーズン55本塁打をマークした村上は最高の成功例で、2年目の昨季にチームトップタイの9勝を挙げた奥川もチームの将来を担う欠かせない存在になった。遊撃手として今季レギュラーに定着した長岡については、「びっくりするぐらい成長した。我慢してよかったなと思う」と言葉に実感を込める。2020年に1軍監督に昇格してからも、2軍との連携を密にし、選手の状態を常に気に掛けている。 今季が契約最終年だったが、既に契約を2年延長している。采配だけではなく、育成の手腕を評価し、腰を据えてほしいという球団の考えがあるからだ。 若手選手の活躍は、監督にとっても当然うれしいこと。「毎日の経験を次の試合に生かし、今年の経験をまた来年に生かすという繰り返し。よくここまでは音を上げず、頑張ってきている」。満足げな言葉は、育成がうまくいっていることの証明だ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕2年連続9度目の優勝を果たし、喜ぶヤクルトの村上(左端)ら。右から2人目は高津監督=25日、神宮球場 〔写真説明〕プロ野球・ヤクルト―広島。2回、試合を見守るヤクルトの高津監督=8月23日、神宮球場