小結に返り咲いた霧馬山が力強い。御嶽海に当たり負けすることなく、素早く得意の左四つに持ち込む。「すぐにまわしを取って落ち着いた」。しっかりと引きつけ、迷わず前へ。大関相手にも堂々と、自分の相撲を取り切った。 苦い経験が生きているのだろう。新小結だった昨年11月の九州場所は初日から5連敗。横綱、大関からは結局、白星を挙げられず、6勝9敗に終わり、勝負の厳しさを味わった。 「いい勉強になった」。そう前向きに捉えて稽古に励んだからこそ、この1年ほどで、幕内上位で十分に戦える実力が備わってきた。直近3場所で勝ち越し、満を持して戻ってきた三役の土俵。自身より上位の相手に一歩も引かない姿勢を披露し、2大関を破るなど奮闘する。 早くも5勝目。大関陣が番付にふさわしい成績をなかなか残せない状況が続く中、三役に定着できれば、次の候補として浮上する。「上を目指す。どこまで行けるか楽しみ」。脂が乗ってきた26歳は、自然と言葉にも自信がみなぎっている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕霧馬山(奥)は御嶽海を寄り切りで破る=17日、東京・両国国技館