サッカーのモロッコ代表をワールドカップ(W杯)カタール大会出場に導いたバヒド・ハリルホジッチ氏が、開幕まで3カ月と迫った8月に解任された。前回ロシア大会直前に日本代表監督を電撃解任された記憶は新しいが、2010年南アフリカ大会前も、当時率いていたコートジボワール代表で契約を打ち切られている。三たび屈辱となった。 今回の背景にあるのが主力選手との衝突。強豪チェルシー(イングランド)でプレーする人気選手のジヤシュらを招集せず、国民からも不満の声が上がっていた。 率直な物言いや異論を許さない性格が求心力の低下につながった日本代表監督時代と似た結末に。ハリルホジッチ氏は生まれ故郷ボスニア・ヘルツェゴビナのメディアとのインタビューで「信頼と安定性を与えるのは結果だけ。(解任は)ばかげている」と語った。 手腕が確かなのは間違いない。国際連盟(FIFA)公式サイトによると、4カ国を率いてW杯出場権を手にした監督は初めて。唯一本大会で指揮した14年ブラジル大会では、下馬評の低かったアルジェリアを初の決勝トーナメント進出に導き、優勝したドイツを延長戦まで苦しめた。 モロッコも同じ北アフリカ勢。欧州仕込みの技術を持ったタレントがそろう点でも共通する。「W杯でアルジェリアのような偉業を起こせると信じていた」。策士で知られ、本番前の仕上げに自信を持つ70歳だが、チャレンジの機会すら与えられなかった。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕モロッコ代表監督としてW杯カタール大会1次リーグ組み合わせ抽選会に訪れたハリルホジッチ氏=4月1日、ドーハ(EPA時事) 〔写真説明〕モロッコを率いて出場したアフリカ選手権で、選手と抱き合って喜ぶハリルホジッチ氏(右)=1月25日、カメルーン・ヤウンデ(AFP時事)