4番の座を明け渡して約3週間。不振にあえいできた巨人の主砲、岡本和が、同点の25号2ランで意地を見せた。この日は5番に入り、2点を先制された直後の二回、無死一塁。3球目の直球を完璧に捉えると、打球はバックスクリーンまで一直線に届いた。 打った瞬間に本塁打と分かるような当たりだったが、「次の攻撃につなぐ気持ちだった。手応えは良かった」。8試合ぶりの一発にもあまり笑みはなく、喜びは控えめだった。 4年連続で30本塁打以上を放ち、昨年まで2年連続で本塁打、打点の2冠に輝いた若きスラッガー。しかし、今年は夏場以降に特に苦しみ、7月の本塁打はわずか1本。今、球界最高の強打者は、この日の相手、首位ヤクルトで三冠王へひた走る村上だ。 自身の不調が影を落とすように、チームもBクラスに沈んでいる。常勝を義務づけられてきた球団の89代目の4番打者。背負ってきた重圧は計り知れないが、勝負の秋へ、このままでは終われない。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕2回、同点の2ランを放つ巨人の岡本和=31日、京セラドーム