【ロンドン時事】ロシアによるウクライナ侵攻開始から半年の節目を翌日に控えた23日、サッカーのウクライナ・プレミアリーグが開幕した。国内では戦闘が続き、安全への懸念から無観客で開催。空襲の警報が鳴れば試合は中断される。危険と隣り合わせの異例の状況下、新シーズンが始まった。 首都キーウ(キエフ)で行われた開幕戦は、シャフタル・ドネツクがメタリストと対戦した。選手は国旗を肩にまとって入場。大型スクリーンにゼレンスキー大統領のビデオメッセージが流された。試合開始前には黙とうがささげられ、涙ぐむ選手も。試合は0―0で引き分けた。 昨季はロシアの侵攻により、打ち切りとなった。ロイター通信などによると、ウクライナ軍などが国民の士気を高めるためにもリーグ再開を望んだ。ウクライナ協会のパベルコ会長は「スポーツのためだけではない。国民の不屈の精神を示すもの。平和のためのサッカーだ」と意義を強調する。 今季は全18チームのうち、2チームは本拠地が破壊されて参加を断念した。会場となるスタジアムは地下シェルターが設置され、空襲の警報が鳴ると選手らは避難する。試合には軍関係者が立ち会う。 シャフタル・ドネツクは昨季打ち切られた時点で首位に立っていた。ヨビチェビッチ監督は試合前、「ウクライナの生活が止まることなく続いていると世界に示すことは、非常に大きな責任だ」。MFムドリクは「われわれの目標は試合を通じて、何も終わっていないこと、そしてウクライナで起こっている残虐行為を世界中に思い出させることだ」と語った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕ウクライナ国旗を肩にまとって入場したシャフタル・ドネツクとメタリストの選手=23日、キーウ(キエフ)(ロイター時事) 〔写真説明〕ウクライナ・プレミアリーグの開幕戦前、スクリーンに映し出されたゼレンスキー大統領のスピーチ=23日、キーウ(キエフ)(EPA時事)