大相撲の夏巡業は14日に埼玉県春日部市で全5日間の日程を終えた。新型コロナウイルスの影響で、巡業の開催は2年8カ月ぶり。コロナ対策の制限はあっても、ファンは力士と身近に触れ合う機会を歓迎し、盛んに拍手を送った。 31年ぶりの開催となった茨城県古河市での巡業。午前9時ごろに始まりを告げる太鼓が鳴り響き、観客が続々と会場に入った。開催事務局の小谷野勝二さんは、「涙が出るくらいうれしかった」。コロナ感染が拡大する中での作業とあって、「不安と闘いながらやっていた」と一息ついた。約2100席のチケットは、発売前日から並んだファンもいて数時間で完売。その熱意に支えられたという。 恒例だった力士との握手会などは見送られたが、写真撮影や子供による質問コーナーなどが設けられた。関脇若隆景が「子供たちに相撲を知ってもらうきっかけになればいい」と話せば、幕内若元春も「なかなか接点がないファンもいる。地方で応援してくれる人に会えるのは楽しい」と巡業参加の喜びを明かした。 巡業部副部長の入間川親方(元関脇栃司)は「大変緊張した。お客さまにうつすことも力士が感染するのも、期待を裏切ることになると気を使った」と振り返った。 10月には秋巡業が予定されている。夏巡業最終日にはコロナの影響で大関御嶽海が休場。同親方は「喜んでもらえることを期待しているが、先が読めない。気を緩めないようにしたい」。本格的なにぎわいの復活へ向け、なお手探りで準備を進めることになりそうだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕夏巡業で相撲甚句を披露する力士たち=5日、東京・アリーナ立川立飛