気持ちのいい大きな弧を描いた一発は、この日ベンチに復帰した高津監督へのお祝いだ。ヤクルトの村上が、試合を決定付ける32号3ラン。「完璧だった」と自賛する一振りとなった。 2点リードの七回、並木がスクイズを失敗した直後の2死一、二塁。「このままだと流れが厳しくなる。何とかカバーしたい」。外角速球を振り抜くと、すぐ一塁ベンチへ右手を掲げる。直後に打球は右中間席中段へ消えた。 新型コロナウイルス禍に見舞われ、チームは連敗が続いた。離脱していた高津監督からの電話に、思わず「しんどい」と漏らした。すると「そんな泣き言を言うんじゃない」と背中を押された。村上は「僕も信頼しているし、監督も信頼してくれている」。恩返しの白星を渡した。 2年連続で最下位に沈んだ2020年に「4番を務めるのが精いっぱい。何ができるか考えて成長したい」と誓っていた22歳。この日のお立ち台では「2年前は勝つことが当たり前じゃなかったので、(今)勝つ喜びをかみしめられて幸せ」と実感を込めた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕7回、3ランを放つヤクルトの村上=20日、神宮