6月14日のチュニジア戦。MF鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)の特長が表れた。前半、伊東(ゲンク)の右クロスに遠い位置からフリーで飛び込んだ場面。 「ああいう所に入っていけるのは、他の選手にはないところ。怖い部分には顔を出せている」。試合を左右する決定機を逃したが、日本がサイドを崩した後に抱える課題に対し、形を示したシーンでもある。実際、同2日のパラグアイ戦では、右クロスに合わせて決めている。 ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の途中までは不動のトップ下。だが、昨年10月のサウジアラビア戦を最後に布陣が4―3―3に変わり、ポジションを失った。半年ぶりに代表復帰し、中盤の前寄りに位置するインサイドハーフで機能するかが焦点だった。 相手の背後を取ってライン間でボールを受け、十分に敵を引き付けてから配球し、隙あらばゴール前に駆け上がる。クラブの優勝に貢献した欧州リーグでは、チーム最多の5得点。森保監督も「チャンスメークだけでなく、自分で点を決めるレベルも上がっている」と評価する。 同じ位置の守田(サンタクララ)と田中(デュッセルドルフ)はボランチタイプで、トップ下が本職の鎌田は攻撃の面で違いを見せる。守備に課題を残すものの「多くの人が自分はインサイドハーフでできると思っていなかったと思うが、プレーできることは見せられた。もっと上を目指す」。巻き返しを期す言葉に力を込めた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕パラグアイ戦の後半、ボールをキープする鎌田(左)=6月2日、札幌ドーム