千両役者が甲子園に帰ってきた。2006年以来、16年ぶりに聖地へ足を踏み入れた日本ハムの新庄監督は、阪神時代を懐かしみ、「この球場だけは、監督室に入った時に変な感じがした。10年はいたからね」。かつての本拠地で特別な感情を覚えずにはいられなかった。 阪神の選手だったのは00年が最後。新庄監督は「もう忘れられていると思っていた」と話したが、低迷し続けた「暗黒時代」を彩った人気者を、ファンが忘れるはずはない。 打撃練習中に三塁の守備位置で打球を追うだけでスタンドは大喜び。温かく迎えた阪神ファンに対し、メンバー発表後はマウンド方向に歩み寄り、バックスクリーンに向かって一礼。甲子園が大きな拍手に包まれた。 高校時代に甲子園に出場した選手を先発メンバーに並べることも示唆していたが、マウンドにはエースの上沢を送った。「こだわりよりも、いい試合をね」。立場が変わった今は、華のあるプレーではなく、勝負師として球場を熱狂させる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕試合前、甲子園のファンに向かってあいさつする日本ハムの新庄監督=3日、甲子園