ラグビーのリーグワンで、横浜が8勝4敗の勝ち点36でプレーオフ進出圏内の4位につけている。躍進するチームで存在感を高めているのが、昨夏の東京五輪で7人制代表の主将を務めたWTB松井千士(27)だ。 2月27日のBR東京戦では、2トライを決めて勝利に貢献。同大時代から鳴らしたスピードに加え、7人制で磨かれた技術を存分に発揮した。 2020年にサントリー(現東京SG)から横浜の前身のキヤノンに移籍した。東京五輪まで7人制に専念したため、実質的に横浜でプレーするのは今季から。来秋の15人制ワールドカップ(W杯)フランス大会に照準を定め、「横浜を上位に導いてアピールし、代表争いに絡む」と決意を示す。サントリー時代は社員選手だったが、横浜とはプロ契約。「W杯に出るための環境を整え、言い訳は排除した」。トップリーグで優勝経験のないチームを選んだのは、強豪を倒したいというハングリー精神からだった。 東京五輪はメダルに遠く及ばない11位。「心に穴があいた」と喪失感は大きく、大会後の約2カ月間は休養した。新婚の妻と旅行を楽しむなどリフレッシュし、「もう一度自分を奮い立たせるためのいい期間だった」。復帰後は課題のフィジカルを強化するため、タックル練習に時間を割く毎日だ。 19年W杯で日本の8強入りに大きく貢献した福岡堅樹さんは昨年に引退。代表の絶対的エースは不在で、松井にもチャンスはある。「7人制で鍛えた力が通用することを示したい」。代表争いを勝ち抜くためにも、終盤を迎えるリーグでさらにギアを上げるつもりだ。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕ラグビー・リーグワン、BR東京―横浜。前半、トライを決め喜ぶ横浜の松井千士(中央左)=2月27日、東京・駒沢陸上競技場