マフチフ、母国にささげる金=戦火逃れ、力強く舞う―世界室内陸上
時事通信社 2022年04月06日 05:53:38
【ロンドン時事】3月にベオグラードで行われた陸上の世界室内選手権女子走り高跳びで、東京五輪銅メダルのヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)が2メートル02をマークして優勝した。AFP通信などによると、大会の3週間ほど前にロシア軍の侵攻を受ける母国の自宅を出て、地下室へ避難。心身共に困難な状況を乗り越え、力強く舞った。 追い込まれてから底力を発揮した。2メートル00はパターソン(オーストラリア)が2回目で成功。マフチフは後がない3回目でクリアした。続く2メートル02を1回目でただ一人跳び越え、この種目を制覇。観客が総立ちでたたえる中、ウクライナ国旗を高々と掲げた。「このメダルは母国、国民、軍隊のためにある」 ロシアの侵攻が始まった後は大会やトレーニングのことを考えられず、「とても恐ろしかった」。ベオグラードまで約2000キロを車で3日間かけて移動。本来の力を出せるのか不安を抱え、「ここでジャンプすることは心理的に難しかった」と打ち明けた。 19年世界選手権銀メダルの20歳。今年7月には米オレゴン州で世界選手権が開催されるが、屋外シーズンの具体的な競技計画は立っていないという。「ロシアの多くの人々は、この戦争が真実であることを理解しなければならない」。凄惨(せいさん)な状況に目を向けるよう訴えた。(了)【時事通信社】
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