切り札が、最高の輝きを放った。後半39分に投入された三笘は果敢に縦へ。同44分、川崎時代の同僚だった山根の折り返しに反応し、待望の先制点。終了間際には左サイドから一気に中央へ切れ込み、追加点を挙げた。 後半から出場して代表デビューを果たした昨年11月のオマーン戦で停滞していた左サイドの攻撃を加速。1、2月のホーム2連戦はけがで招集外だったが、この日も独特なリズムのドリブルが生きた。2点目は持ち味を存分に発揮。「全部出し切った」と胸を張った。 2020年に筑波大から加入した川崎で新人最多タイの13得点を挙げる鮮烈なデビュー。だが、昨夏の東京五輪は負傷の影響で不完全燃焼に終わった。「充実感はない。どんな状況でも必要になる選手になる」。成長を誓い、直後にベルギーへ移籍。当初は出場機会が限られたがプレー時間を伸ばし、欧州でもまれてたくましくなった。 大一番で救世主となり、24歳は歓喜の輪の中心にいた。目指すのは幼い頃に夢見たW杯の舞台。「また競争が始まる。まだ選手として足りない部分があるので成長していきたい」。喜びもそこそこに、視線を先に向けた。(シドニー時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕豪州戦の後半、先制ゴールを決め、喜ぶ三笘=24日、シドニー 〔写真説明〕豪州戦の後半、2点目のゴールを決める三笘(左から2人目)=24日、シドニー