劇的な勝利が最後に待っていた。試合終了を目前にして日本が2ゴール。ヒーローとなったのは「1分でも結果を残さないといけない」と話していた途中出場の三笘。4万人以上が集まったシドニーの五輪スタジアムが静まり返る中、日本の歓喜の輪が広がった。 過去3大会もW杯最終予選で争った豪州の敵地で、日本はこれまで2分け1敗だった。「アウェーで勝てていないので、勝って決めようと話していた」。吉田主将の声はかすれ、目に熱いものが伝った。 後がない豪州に対し、日本は状況次第では引き分けでも良かったが、足が止まり始めた試合終盤、森保監督が勝負に出た。後半35分すぎに、ドリブラーの三笘を投入。これが見事に当たった。 後半終了間際、山根、守田とつなぎ、山根の折り返しを三笘が押し込むと、ロスタイムには左サイドから切り込み追加点。「0―0なので、いくしかないと思った。全部出してきた」。三笘は声を弾ませた。 最終盤の決着では、試合開始から前線でボールを激しく追った浅野や南野の貢献を忘れてはならない。中盤の遠藤航、守田、田中も激しくぶつかり、相手の疲労を誘った。森保監督が就任以来、求め続けてきたことが勝負どころで実を結んだ。 1勝2敗と前例のない出遅れから、昨年10月の豪州戦をきっかけに息を吹き返し6連勝。一気に走った。「世界に勝つためにということを常にやり続ける」と指揮官。目前で夢が散ったベルギー戦からもうすぐ4年。歴史を変える勝利で、W杯ベスト8以上を目指す挑戦権をつかみ取った。(シドニー時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕豪州に勝利してW杯出場を決め、吉田(中央)に祝福される三笘=24日、シドニー 〔写真説明〕豪州戦の前半、ゴール前に飛び込む浅野(手前右)=24日、シドニー 〔写真説明〕豪州戦の前半、パスを出す南野(手前)=24日、シドニー