3連覇を遂げた2018年以来の、復活を告げる優勝。松永は両拳を握ってゴールに飛び込んだ直後、声を上げて泣いた。「号泣にはあまり触れないで」と照れつつ、「長かった。戻って来られた気持ちが大きい」と喜びをかみしめた。 本来は4月の日本選手権35キロが目標。今回は調整の一環のつもりだったが、直前に調子が上がってきたことから勝負を決意した。序盤から1キロ4分を切るハイペースで先頭を引っ張り、往時を思い起こさせる積極的なレース運び。12キロすぎに2位以下を引き離した後は勢いがやや落ちたが、後続の追随は許さなかった。 リオデジャネイロ五輪男子20キロで日本選手初の入賞。だが近年は低迷し、東京五輪で表彰台に立った池田向希(旭化成)ら後輩の台頭で影が薄かった。「正直、やめようと思った」と明かし、「心のどこかで彼らのことをうらやましいと思う自分もいて、きっとそこが今の僕につながっている原動力なのかなと思う」。 世界選手権が行われる米オレゴン州ユージンは、1万メートルで日本勢として初優勝し話題をさらった14年世界ジュニア選手権の開催地でもある。「僕にとっての第一歩で、そこからシニアと戦える力がついた。あの時の再現ができたら」。24日に27歳となる実力者は、久々の大舞台に心を弾ませた。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕男子20キロで優勝し、ゴール後に歓喜の表情を見せる松永大介=20日、石川・能美市営コース