今の高安には、心身ともに充実ぶりが見て取れる。ただ一人、白星を五つ並べて「やっと、しっくりきている」。腰痛など度重なるけがに苦しんできた元大関の声は明るい。  気迫十分の突き押しで、腰が重い宝富士の上体を起こした。左を差した相手の反撃にも、ぐっとこらえて右からの突き落とし。「攻め切れなかったが、体が動いた」。今場所は足腰に持ち前の粘り強さがある。  師匠らが新型コロナウイルスに感染したため、先場所は田子ノ浦部屋の全力士が休場した。その間、自身は下半身強化に時間を割き、「自分の体を見詰め直すいい機会になった」という。昨年8月に独立した元横綱稀勢の里との三番稽古はできなくなったものの、その兄弟子から教わった理論的なトレーニング法は今も役立っている。  初日からの5連勝は、大関だった2018年秋場所以来。苦手意識があったという序盤戦を上々の結果で乗り切り、「内容がいい。引き続き厳しい攻めをしたい」。復活を期す32歳が「荒れる春場所」で存在感を示している。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕高安(奥)は宝富士を突き落としで破る=17日、エディオンアリーナ大阪
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 鍛えた足腰に手応え=高安、ただ一人5連勝―大相撲春場所