3年ぶりに観客の熱気があふれる大阪で、大関かど番の正代には春風が吹かない。この日も白星を挙げられず、初日からずるずる4連敗。早くも窮地に立たされた。宇良に左腕をたぐられると上体が伸び、立て直す余裕はない。後ろに付かれてあっさり土俵を割った。 大関に昇進した頃のような馬力が影を潜め、とにかく当たりが弱い。土俵下の藤島審判長(元大関武双山)は、「気持ちと体がばらばらのように見える」と心配する。正代は「負けが込むと悪い方へいってしまう」と日頃から自身のマイナス思考を自覚。この日も生気のない顔で土俵を下りた。 データの上でも苦境ぶりは歴然。かど番場所で初日からの4連敗は、現行の制度では1992年九州場所の霧島(現陸奥親方)と並ぶワースト記録。初日から3連敗以上を喫して大関に踏みとどまったのは、昨年秋場所の貴景勝だけだ。 角界の看板でもある大関がふがいない相撲を取り続ければ、ファンはしらけるばかり。八角理事長(元横綱北勝海)は、「しっかりした姿を見せるのも大関の仕事。一つ勝つ気力を見せてほしい」。まずは立ち合い、死力を尽くしてぶつかるしかなさそうだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕宇良(右)は正代を送り出しで破る=16日、エディオンアリーナ大阪