大関として初めて上がる土俵でも、御嶽海は悠然としていた。大きな逸ノ城に攻め込まれる場面もあった中、冷静さは欠かない。自分の体勢をつくってから押し出し。表情を変えることはなかった。 万全の臨戦過程で春場所を迎えたわけではない。1月の初場所後には新型コロナウイルス感染が判明。3週間近く本格的な稽古ができず、下半身の筋肉は自覚できるほど落ちたという。それでも、「いい休養になった。プラスに捉えないと」と切り替えられるあたりは、前向きなこの人らしい。 幕下10枚目格付け出しで踏んだ2015年春場所での初土俵から試行錯誤を重ね、憧れの地位をつかんだスタイルには自信がある。「不安はない」と言い切り、四股やすり足などの基礎運動の量を増やして、新型コロナによる遅れを補ってきた。 精神面の充実が安定した相撲ぶりにつながっているのだろう。大関になっても、「今まで通りという心構えは強く持たないといけない」と誓い、平常心を貫く覚悟。掲げる目標も「変わらない。まずは2桁」と、地に足がついている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕新大関の御嶽海(左)は逸ノ城を押し出しで下し、白星発進=13日、エディオンアリーナ大阪