メッセージはきちんと届けられるのか―。13日夜に北京市の国家体育場(愛称・鳥の巣)で行われる北京パラリンピックの閉会式で、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長のスピーチが中国語に訳されるかどうかに注目が集まっている。 4日の開会式で、同会長は「21世紀は対話と外交の世紀であり、戦争や憎しみの時代ではない」などと平和を訴えた。名指しこそしなかったが、ウクライナに軍事侵攻中のロシアを念頭に置いた発言であるのは明らか。しかし、開会式を中継した中国国営中央テレビ(CCTV)はスピーチの一部を中国語に同時通訳せず、音量も下げた。連携してきたロシアに配慮し、中国国内でロシア非難が広がることを恐れたとみられる。 AFP通信によると、IPCはこの件についてCCTVに説明を求めているが、10日の時点でいまだ回答は得られていない。パーソンズ会長は「彼らの見解、説明を待っている」と語った。 今大会ではウクライナ選手団が選手村でロシアに抗議する異例の集会を開くなど、平和へのアピールが色濃く、閉会式でもパーソンズ会長のスピーチで何らかの言及がありそう。CCTVのテレビ中継ではその時、どう伝えられるだろうか。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕北京パラリンピックの開会式でスピーチする国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長=4日、北京(EPA時事)