本当に現役引退するのか。そう思わせる圧巻の走りだった。男子12.5キロフリー視覚障害で42歳のブライアン・マッキーバー(カナダ)が今大会3種目目の制覇。初出場だった2002年ソルトレークシティー大会から積み重ねた金メダルを通算16個とし、冬季大会の男子歴代最多に並んだ。 北京大会を最後の舞台として臨んだ。13日のリレーに出るが、個人種目は有終の美。「きょうは良いビブスをもらえたからね」。金メダル数と同じ16番のゼッケンを示して笑った。 3歳でスキーを始め、12歳から大会に出場。しかし19歳の時、網膜の黄斑部に異常が出る「スターガルト病」を発症し、視覚は全体の10%以下しかない。「きのうよりも良い日に」と心に刻み、健常者の世界選手権にも出るなど活躍してきた。 出場した全3種目を制した。まだまだできそうだが「けがをして、朝起きて体が痛いこともある。余生はスキーを楽しむよ」と未練はない様子。同じく北京を集大成としている41歳の新田佳浩とは、「お互いコーチとしてコース脇でまたすぐに会うだろう。きっと面白いレースになるぞ」と言葉を交わしたという。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ノルディックスキー距離男子12・5キロフリー視覚障害、ゴールするカナダのマッキーバー(右)=12日、張家口