北京パラリンピックのアルペンスキー女子座位で、日独のエースが激しくぶつかり合っている。7日のスーパー複合で大会3個目の金メダルに挑んだ村岡桃佳(トヨタ自動車)を阻んだのが、アナレナ・フォルスター(ドイツ)だった。 6日に行われた高速系のスーパー大回転は、村岡が0秒11差の僅差で優勝。翌日のスーパー複合では、フォルスターが技術系の回転で村岡を上回り、総合力が求められる種目で頂点に立った。 生まれつき両足に障害があるフォルスターは、6歳で競技を始めた。故郷で開催されたパラスポーツのイベントで、チェアスキーの存在を知ったことがきっかけだ。 始めた当初は寒さで練習中に泣いてしまう日々。だが、上達するにつれ、楽しく感じられるようになったという。ある日、雪山の中で「自由」という感覚を覚えた。「私は自然の中で、他のみんなと同じようにスキーができるんだ」 2014年ソチ五輪の女子座位で5冠を達成した母国の大先輩、アナ・シャフェルフーバーに憧れている。フォルスターは18年平昌パラでスーパー複合と回転を制して新エースとして名乗りを上げると、19年世界選手権でも回転で優勝。村岡が不在だった今年1月の世界選手権では4種目を制した。 1歳年下の村岡とは互いに尊敬し、刺激し合える仲だ。「ライバルに負けたくない気持ちで競技をしている」と村岡。フォルスターも「(平昌パラでは)まだ子どもっぽかった印象だけど、今はとても強い選手」と意識する。世界をリードする2人の対決は、大会の終盤も盛り上げそうだ。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキー女子スーパー大回転座位、ドイツのアナレナ・フォルスターの滑り=6日、延慶 〔写真説明〕アルペンスキー女子スーパー複合座位で優勝したドイツのアナレナ・フォルスター=7日、延慶