ゴール直後。女子100メートル自由形の池江は、しばらくプールから出ることができなかった。世界選手権の派遣標準記録を切れず、「この1年間頑張ってきたのに、何だったんだろう」。代表入りを逃した2日前の50メートルバタフライに続き、また涙を流した。 前半は派遣標準記録より速いペースの26秒47で乗り切ったが、そのスピードを保てない。最後は0秒06及ばず、世界選手権の切符はつかめなかった。 白血病を克服し、昨夏の東京五輪はリレーメンバーとして出場を果たした。次へのステップアップとして、目標に置いたのが個人種目での世界選手権出場。並々ならぬ意欲で臨んだ代表選考会だったが、ここまで思うような結果を残せていない。「何も成長していない」と肩を落とした。 最終日は50メートル自由形と100メートルバタフライがある。失意の表情のまま、「泳ぐからには最後までやらないといけない」と懸命に声を絞り出した。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕女子100メートル自由形で優勝するも代表決定を逃した池江璃花子=4日、東京辰巳国際水泳場(代表撮影)