東京五輪2冠の大橋が、女子400メートル個人メドレーで若手2人に敗れた。後輩たちをたたえて笑顔も見せたが、しばらくすると涙をこらえ切れなくなった。「自分自身との闘いに負けた」 五輪後、初めて臨んだ緊張感のある大会。「無意識に、変なレースをしたらいろいろ言われると考えてしまった」。決勝は体が思うように動かず、最初のバタフライからスピードが上がらない。得意の背泳ぎでも後れを取る展開。残りの半分は力尽きたように差を広げられた。1月下旬の大会後に体調を崩して練習を積めなかった時期があり、その不安もあったか。タイムは平凡だった。 頂点に立った者だけが感じる重圧。かつて同じ拠点で練習していたリオデジャネイロ五輪金メダルの萩野公介さんをそばで見て、「もっと楽しめばいいのに」と思っていたという。だが、今では「そうなった人にしか分からない気持ちがあるんだな」と痛感した。 3位ながら世界選手権の代表には決定。勝負の夏へ向け、「(重圧の)攻略の仕方を早く覚えて、またいいレースができるように頑張りたい」と自らを鼓舞した。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕女子400メートル個人メドレー決勝を終え、1位となり代表に決まった谷川亜華葉(左)と大橋悠依=3日、東京辰巳国際水泳場