先輩3人がつないでくれたメダル圏内の位置。アンカーを任され「すごくプレッシャーがあった」と言う最年少の山本は、ドイツ、オーストリアと2、3位を争う展開に。激しいラストスパート勝負で力を振り絞って3位を確保すると、叫びながら両腕を挙げた。 チームとしての走力を考えれば、前半飛躍でどれだけリードを奪えるかがカギだったが、4位という苦境。後半距離は1走の渡部善がきっちり先頭集団でつなぐと、続く永井も離されずエースにつなぐ。渡部暁も途中先頭集団を引っ張るなど力強い走りで山本に引き継ぎ、最後までメダルのチャンスを残した。 五輪の団体メダルは、荻原健司を中心に3人制だった1994年の金以来(当時はノーマルヒル)。ラージヒルで争われた今回は、絶対的エースの渡部暁、安定感のある渡部善、五輪は今回が最後と決めて臨んだ38歳の永井、それに進境著しい24歳の山本という強力なチームが、複合日本の長年の願いをかなえた。2009年世界選手権で団体優勝経験がある渡部暁は「長い時間がかかったが、この瞬間を共有できてうれしい」。 五輪、世界選手権を合わせると、日本は17年から4大会連続で4位。3強のノルウェー、ドイツ、オーストリアの一角を何とか崩そうと、夏場の距離の練習時間を増やして強化を図ってきた。距離ばかりを鍛えてジャンプの能力が落ちては意味がない。92、94年の五輪団体連覇メンバーだった河野孝典コーチは徹底して練習時間を管理し、チームに必要な能力を磨いてきた。 今年1月の時点では「強い3カ国とはものすごく距離があると感じる」と話していた河野コーチ。期待以上の成績に「もう少し選手を信用してあげないといけないのかな」と感慨深げだった。うれしいサプライズを演じた4人が、満面の笑みで表彰台に飛び乗った。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ノルディック複合団体で銅メダルを獲得し、喜ぶ山本(奥)=17日、張家口 〔写真説明〕ノルディック複合団体、後半距離で永井(右)にタッチする渡部善=17日、張家口 〔写真説明〕ノルディック複合団体、後半距離で力走する渡部暁(右)=17日、張家口