岩渕はメダルにあと一歩だった。早くから北京五輪での表彰台を見据えていた20歳。夢はかなわなかったが、「(練習の成果は)しっかり出せた」と胸を張った。 16歳で出場した平昌五輪はスロープスタイルで14位、ビッグエアは4位。「周りにのまれて、自分のことに集中できなかった」と振り返る。このシーズンに本格的にワールドカップ(W杯)を回り始めたばかりだった。W杯では優勝したものの、大舞台で結果を出せるだけの経験や実力がまだ足りなかった。 今回は4年をかけて、じっくり準備。「今は自分で気持ちをコントロールできるようになったし、技に対する取り組みも前向きになった」。手応えはあった。 普段から競技中は他の選手の得点を見ないという。今季のビッグエアW杯第2戦では、技の難易度を下げても優勝できるという場面で、あえて大技のバックサイドダブルコーク1260(縦2回転、横3回転半)に挑み、成功させた。「誰かの滑りによって自分の滑りを変えるより、最初に決めた技をやる方がいい」。平昌を経験し、身に付けた強さだった。 最後の3回目でさらに高難度の大技に挑んだ。「悔しい気持ちの方が大きいけれど、最後にチャレンジできてよかった」。意志を貫く姿に、4年間の成長の跡がのぞいた。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕スノーボード女子ビッグエア決勝、3回目の演技を終えた岩渕麗楽=15日、北京 〔写真説明〕スノーボード女子ビッグエア決勝、岩渕麗楽の2回目の演技=15日、北京