女子のシングルス決勝は、伊藤の強さが際立つ結果となった。パートナーを組んでダブルスを制した早田を相手に1ゲームを奪われたものの、ほとんど危なげのない内容。「1ゲーム目から自分らしさを出すことができた」と納得の表情だった。 強打が武器の早田に主導権を渡さなかった。サービス、レシーブで崩し、相手に形をつくらせない。「誰にも負けたくない」という言葉通りの気迫が漂い、好機には一気に連続で得点を奪うなど強気の姿勢を貫いた。 昨年11月に臨んだ世界選手権個人戦では、攻撃以外にもプレーの幅を広げようと迷いもあったという。中国勢の壁は厚く、準々決勝敗退。しかし、今大会では「自分を見直して、自分らしさがこれだと思えた」。プレースタイルへの自信があふれていた。 水谷と組み、東京五輪で頂点に立った混合ダブルスには今後出場せず、パリ五輪に向けては女子のシングルスとダブルスに絞って挑戦する考えだ。「今の目標は大会に出て勝つこと。勝ちまくること」。次の世界一へ、早くも意欲は湧き上がっていた。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕女子シングルス決勝、プレーする伊藤美誠=30日、東京体育館