小林陵は悪天候も味方につけた。吹き荒れる風とやまない霧雨の中、1回目は最長不倒の145メートルを飛び、飛型点も申し分なく首位に。直後に好調のライバル、ガイガーは着地の手前で風にあおられて飛距離を失った。2回目が中止となり、優勝が決まった小林陵は「ラッキーな部分もあったが、勝ててよかった」と冷静に振り返った。 前日は腰に痛みがあり、大事を取って予定の飛躍をすべて回避した。「きのう飛んでいなかったので、フレッシュな気持ちでやる気に満ちていた」。着地を成功させるとガッツポーズだけでは収まらず、斜面を滑りながらまた小さくジャンプ。ちゃめっ気あるパフォーマンスで喜びを表現した。 年末年始のジャンプ週間の後は踏ん張りどころだった。表彰台から遠のき、疲れも口にしていたが、ジャンプの良い感覚は保ち続けてきた。「あしたは2本飛べればいいですね」。調子が上向いてきた日本のエースは、北京五輪前の最後の実戦に臨む。(ビリンゲン時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕個人第18戦で優勝した小林陵侑の飛躍=29日、ドイツ・ビリンゲン(AFP時事)