陸上女子100メートル、200メートルの日本記録を持つ福島千里(33)=セイコー=が29日、東京都内で記者会見し、現役引退を表明した。日本選手にとって世界との差が大きかった女子短距離で数々の快挙を遂げ、名を刻んだ。 日本勢が舞台に立つことさえままならなかった五輪に3大会連続出場。世界選手権でも2009年に100メートルで日本人初の1次予選突破を果たし、11年には短距離2種目で準決勝に進んだ。「世界大会のファイナリスト(決勝進出者)は、なかなか手応えを感じられなかったのが正直なところ」と打ち明けつつ、「小さな目標一つ一つをクリアして、成長を感じることができた」と挑戦の道のりに誇りをにじませた。 16年リオデジャネイロ五輪後は練習環境を変えて東京五輪を目指したが、けがや不振に苦しむ期間が長かった。コンディションが万全ではなく「やりたい練習よりも、やれる練習を選択することが多くなった」と感じ、引き際を考えたという。 長い競技生活を「目標達成まで諦める気持ちがなかったので、ずっと続けてこられた」と振り返り、現役選手に「続けていないと分からない気持ちがある。いろんなことに挑戦、工夫してほしい」とエールを送った。 今後は陸上教室などを通して後進の育成に携わる。福島は「幸せな競技人生だった。セカンドキャリアも私らしく走り続けていきたい」と語った。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕オンラインでの記者会見で現役引退について説明する陸上女子短距離の福島千里=29日