(画像=キーコーヒー株式会社)





柴田 裕(しばた ゆたか)

キーコーヒー株式会社 代表取締役社長
1964年神奈川県横浜市出身。1987年にキーコーヒー入社。購買・営業部門に所属、総合企画室経営企画課長として上場プロジェクトに携わった後に、慶應義塾大学大学院経営管理研究科にてMBAを取得。2002年代表取締役社長に就任。広報・SDGsの推進役であり、2022年より持続可能なコーヒー生産の実現を目指す「コーヒーの未来部」の部門長も兼務する。






キーコーヒー株式会社


1920年8月24日横浜市中区福富町にてコーヒー商「木村商店」として創業。「コーヒーを究めよう。お客様を見つめよう。そして、心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を掲げ、海外におけるコーヒー農園事業から、コーヒーの製造、販売ならびにコーヒー関連事業経営に至るまでのコーヒーに関する総合企業。現在プライム市場に上場。本年上場30周年を迎える。






これまでの事業変遷について


冨田: 初めに、現在までの変遷について教えてください。


キーコーヒー株式会社 代表取締役社長・柴田裕氏(以下、社名・氏名略): 当社は1920年(大正9年)に横浜で創業し、今年で104年目になります。振り返ると、創業からの100年間は「コーヒーを誰でも簡単に楽しめるものにする」というテーマを追求した日々でした。1921年には希釈飲料のコーヒーシロップを発売したり、1955年からはコーヒー教室を開催し、喫茶店を開業したい方や、ご自宅でおいしいコーヒーを楽しみたい方へ向けて、コーヒーの知識や抽出技術を広めてきました。




1921年発売 コーヒーシロップ (画像=キーコーヒー株式会社)





創業100年を超えてからは、コーヒーの魅力をより多くの方に広める活動を心がけています。商品デザインやパッケージの工夫はもちろん、コーヒー生産地へ貢献する活動や、コーヒーの生産者が持つ思いにストーリーを持たせた情報を発信することにも力を入れています。今後も一人でも多くの方にコーヒーを楽しみ、興味を持っていただけるような取り組みを推進していきます。


経営判断をする上で最も重視していること


冨田: 御社のこれまでの100年以上の歩みの中で柴田社長のご家系の中で代々受け継がれてきたものもあるかと思いますが、柴田社長が経営判断する中で最も重視しているものを教えてください。


柴田: 経営判断の中で「持続可能性」を大切にしています。もちろん、環境面での持続可能性は大前提ですが、加えて「喫茶店文化」を継承していくことも大切にしていきたいと考えています。生活者の皆さんがコーヒーを飲む空間で幸せを感じ、何か新しいものを考えていただくような空間を守っていくことで、喫茶店という場所を通じて日本国内の文化や地域振興にも貢献していきたいと考えています。


経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み


冨田: 柴田社長の経営者としてこれまでのご経験から、ご自身ではどのような強みを持っていらっしゃると思われますか?


柴田: 強みであるかは分かりませんが、1994年にキーコーヒーが上場する際に上場プロジェクトのチームに所属していたことや、MBA(経営管理修士号)を取得した経験から「会社全体を総合プロデュースする能力」は重要だと考えています。


当時はコーヒーをおいしく作って販売するだけで十分だと思っていたのですが、それだけでは不十分であるということに気付かされました。経営者として、イベントや取材、そして販売しているコーヒー自体を通じて、会社の魅力を積極的に発信していくことがとても重要であり、大切にしている部分です。


自社が今後関連していくテーマや思い描いている未来構想


冨田: ここまでは過去についてお伺いさせていただきましたが、これからは未来に目を向けてお話を伺いたいと思います。今後、御社が発展していく上で関連してくるテーマや未来構想について教えてください。


柴田: 関わってくるテーマは様々ありますが、特に強く発信したいのが「コーヒーの2050年問題」です。2050年までに気候変動や温暖化によって、アラビカ種のコーヒーを栽培できる地域が半減してしまうと言われています。このような問題についても、しっかりと生活者の皆さんに情報を伝えていくことが重要だと考えています。




2050年問題に対する取り組み(画像=キーコーヒー株式会社)




また、2030年までのテーマとして「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を掲げています。業界をリードする企業として、環境や社会に配慮しながら、コーヒー以外の飲み物や喫茶文化も含めた事業展開を目指しています。


冨田: 具体的にはどのような取り組みでしょうか?


柴田: リプトンの紅茶や、堀田勝太郎商店の緑茶などを展開することで、コーヒー以外の紅茶や緑茶のラインアップを充実させています。さらに、日本の喫茶店文化を海外に発信する取り組みとして、昨年にはインドネシアのジャカルタやフィリピンのマニラにコーヒーショップを出店し、日本ならではのハンドドリップコーヒーの他に、卵サンドやクリームソーダなど日本の喫茶店で親しまれているメニューを提供し、現地の方に喜んでいただいています。




2023年9月にインドネシア・ジャカルタに開業した『TOARCO TORAJA COFFEE』
(画像=キーコーヒー株式会社)





ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言 など


冨田: 最後に、ZUU onlineユーザーに一言お願いします。


柴田: 当社は約53,000人という多くの個人株主の方々に支えていただいております。今後も、コーヒーが好きな方に当社のファン、そして株主になっていただけたらありがたいと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いします。


冨田: 本日は貴重なお話をありがとうございました。



氏名

柴田 裕(しばた ゆたか)

会社名

キーコーヒー株式会社

役職

代表取締役社長

情報提供元: NET MONEY
記事名:「 キーコーヒー柴田社長が語る「持続可能な経営」と「喫茶店文化の継承」