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こうした環境下、7月24日にテスラが「ロボタクシー」の発表を延期するとともに、四半期決算も市場の期待を下回ったことで、同社の株価が大きく下落し、高値警戒感のあった他のマグニフィセント7銘柄の株価も下落しました。マグニフィセント7をはじめとするAI関連銘柄以外の銘柄には、FRBの利下げ期待が強まるという追い風が吹いてもおかしくありませんでしたが、マグニフィセント7銘柄の下落が投資家のリスク許容度を低下させ、追い風を上回る向かい風を吹かせてしまったことで、マグニフィセント7以外の銘柄も全体として下落圧力に直面しました。この7月24日における米国市場の動きは、マグニフィセント7銘柄への高値警戒感が残る中、マグニフィセント7の個別の業績が市場全体の株価形成に大きく影響しかねない点を改めて明らかにしたと言えます。
以上でふれた動きによる金融市場への影響は、今後も続く公算が大きいと考えられます。米大統領選挙や対中政策についての不透明感が強い中、金融市場のボラティリティーは短期的に上昇する公算が大きいと予想されます。株式市場の観点から注目されるのは、第1に、FRBの利下げについてのより前向きな見方が強まるのに合わせて、短期的には、幅広い銘柄に物色が広がる可能性が高い点です。ただし、この短期的な局面の後は、景気減速による企業業績への懸念もあり、主要株価指数は横ばい圏に入り、そうした中で市場では銘柄を選別して投資する動きが強まり、個別企業の業績や成長性に焦点が当たる局面に変化するとみられます(当レポートの7月4日号、「グローバルな株高局面は短期的に継続する公算」をご参照ください)。
第2に、米国の対中政策がどのように変化するかが注目されます。バイデン政権による半導体規制強化策はまだ詳細が明らかになっていませんが、その具体的な内容によっては半導体関連企業により広範囲な影響が及ぶ可能性があります。一方、民主党の大統領候補のフロントランナーとなったカマラ・ハリス副大統領の対中政策についての考え方も注目されます。
第3に、今後のハリス候補の当選可能性がどうなっていくかも注目されます。今後、大統領選挙の候補者となったことで、ハリス氏は今後本格的に選挙戦に入っていくことになります。ハリス氏の当選可能性が上昇するようなことがあれば、いったんはトランプ氏優位を織り込んで、「米長期金利上昇とドル高」方向に動いた金融市場に巻き戻しの動きが生じることになるでしょう。
第4に、マグニフィセント7をはじめとする個別銘柄の業績も、引き続き注目されます。米国の決算シーズンは今後2週間程度続きますが、マイクロソフトなど、まだ公表されていないマグニフィセント7銘柄の決算の内容次第で、米国の主要株価指数が上下に振れる可能性が高いと見込まれます。
木下 智夫
グローバル・マーケット・ ストラテジスト
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