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今回の米CPI統計を含む主要統計の結果を踏まえて、FRBが年内の2~3回の利下げを実施するという見通しを維持したいと思います。4月分の米CPI統計は、7月のFOMCにおいて利下げが開始される可能性を高めたと考えられます。
4月分のインフレは低下したとはいえ、1~3月に3カ月連続で上振れた後であることから、景気指標がはっきりと悪化しない限り、6月11~12日に実施されるFOMCで利下げが実施される可能性は、かなり低いとみられます。一方、7月30~31日に実施されるFOMCまでには、5月分(6月12日発表)、6月分(7月11日発表)の米CPI統計が公表されますので、インフレがある程度の期間にわたって低下傾向にあったというデータを基に、7月FOMCでの利下げ実施というシナリオを描くことができます。FOMCはその後年末までに、9月、11月、12月の3回開催されますが、私はそのうち1~2回での利下げ実施を見込んでいます。
直近の金融市場での注目される動きとして、2025年から先の利下げ見通しが株式・債券市場において重要さを増していることも見逃せません。2年先のFFレート見通しが直近でのピークを付けた4月下旬時点ではその水準は4.33%でしたが、その後の雇用統計や今回の4月分米CPI統計の発表を受けて、その水準は3.88%まで低下しました。この間の下落幅は、45bp(ベーシスポイント)となりますが、2024年末時点でのFFレート見通しの同期間における下落幅は23bpにとどまりました。この間の株価の上昇幅や長期金利の下落幅が比較的大きかったことをふまえると、2024年中の利下げ幅だけではなく、2025年以降の利下げ幅についての判断が株式市場や債券市場に比較的大きなインパクトをもたらしている姿が浮かび上がります。
4月分の米CPI統計はやや落ち着きを取り戻したものの、金融市場でのインフレ懸念が完全に払しょくされたわけではありません。こうした観点をふまえ、今後も、インフレや景気関連指標に引き続き注目していきたいと思います。
木下 智夫
グローバル・マーケット・ ストラテジスト
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MC2024-067
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