iDeCoでアクティブ・ファンドを購入するのはあり?なし?
iDeCoは個人で資金の拠出・運用指示をして資産形成を目指す私的年金制度のひとつです。iDeCoで運用できる投資信託の場合、パフォーマンスはインデックス・ファンドと比べて、アクティブ・ファンドが優勢だということが分かりました。本記事ではiDeCoでアクティブ・ファンドを選ぶと良いのはどんな人かを解説します。
iDeCoの基本コンセプト
公的年金以外の資産形成を行っていないなど老後資金に不安がある人に向けに、老後資金の準備を促進する制度です。損失の比較的リスクを抑えられる「長期・積立・分散」の考え方が基本にあります。
運用商品は自分で決める
運用商品や金額、期間などは自分で決めなければなりませんが、新NISAと比べて金融商品のラインナップが絞られており、金融商品の選択はしやすいかもしれません。ただし、金融商品ごとの運用方針によって運用結果も大きく変わってきますので、投資家自身の責任が重大です。
iDeCoは税制上の優遇措置(運用益が非課税)がメリットですが、同時に60歳まで引き出せない流動性の低さや元本割れの可能性といったデメリットもあります。ご自身の投資スタイルや資産形成の目的に照らして、リスク許容度に適合した金融商品の選択が大切です。
大きなリスクを取れば、その分大きなリターンが期待できます。リターンが小さい代わりに元本保証がある金融商品(預金や保険)もありますが、手数料などを考慮すると実質的に元本割れするケースもある点には注意が必要です。預金の場合は、銀行が破綻した場合に預金保険機構が1,000万円までしか保証しないことも覚えておきましょう。
確定拠出年金のアクティブ・ファンド運用状況
iDeCoなど確定拠出年金制度で購入可能なファンドで、資産総額を伸ばしているのはインデックス・ファンドです。例えば、2024年2月単月で資金流入額が大きかった上位10ファンドは全てインデックス・ファンドでした。
一方、2024年2月時点で、値上がり益や分配金、費用を考慮した直近1年間のトータルリターンが大きかった上位10ファンドのうちインデックス・ファンドは1商品だけで、他は全てアクティブ・ファンドでした。
今後もアクティブ・ファンドのパフォーマンスが優勢な状況が続くとは限りません。個別のファンドの長期間のトータルリターンや運用方針を確認して、独自に分析することが大切です。
iDeCoでアクティブ・ファンドを運用するのが向いている人と向かない人の違い
アクティブ・ファンドが向いている人
年齢が高くなるほど運用可能期間は短くなるので、短期間で効率よく資産を増やしたい場合、運用がうまくいかなかったときにリカバリーするのは難しくなります。そのため、アクティブ・ファンドの運用が向いているのは、iDeCoで運用している資金の一部を失ったとしても、他にも資産があるので生活や人生設計に大きな影響が生じにくい、リスク許容度が高い人です。
また、商品内容や運用状況を正しく理解できる、一定程度の金融リテラシーが備わっていることも必要な要素でしょう。
アクティブ・ファンドが向かない人
元本保証がある金融商品と比べると、アクティブ・ファンドはリターンが期待できる分だけリスクがあります。そのため、余剰資金があまりなく、少しの損失で老後の生活に支障が出る可能性があるのであれば、アクティブ・ファンドの運用は向いていないといえます。
また、十分に金融商品の詳細を理解できていない人は、アクティブ・ファンドに限らず、いきなり運用を始めるのは避けましょう。運用中の金融商品にあるリスクを把握できていないと、想定していない損失が発生する可能性があります。
アクティブ・ファンドを運用している人の比率
確定拠出年金の普及等に取り組んでいる運営管理機関連絡協議会によると、iDeCoで国内株式型の投資信託を運用している人の中で、若い世代(20〜39歳)はアクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの比率がおよそ4:6で、高齢世代(60歳以上)はおよそ5:5となっており、若い世代の方がリスクを取らず時間を味方につけて運用に取り組もうとしている傾向が読み取れます(2022年3月末「確定拠出年金統計資料」)。
まとめ
年齢が高くなり運用期間が短くなると高パフォーマンスが期待できるアクティブ・ファンドの意義が高まりますが、失敗したときのリカバリは難しくなります。世代を問わず、リスク許容度が高い人や、金融リテラシーがありリスクを踏まえた金融商品の選択ができる人であれば、iDeCoでアクティブ・ファンドを購入することも選択肢にしてよいのではないでしょうか。重要なのは、アクティブ・ファンドでもインデックス・ファンドでも、リスク性の資産(株式や為替リスクのあるもの、あるいはエマージング地域などへの投資)への投資は、リスクが高いため、大きく下落することもある、ということであり、自分のリスク許容度を理解しながら、まずは、気になるファンドの分析から始めてみましょう。
※本記事はアクティブ・ファンドに関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。
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