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・学習塾に通う費用
・スポーツや芸術文化に関する活動費
・家庭内学習で使用するテキスト代など
・林間学校などにかかる費用
・地域活動にかかる費用
文部科学省の調査によると、私立高校(全日制)における学校外活動費の平均は年間4万7,013円です。難関校を目指して学習塾に通ったり、本格的なクラブ活動に参加したりする場合は、この平均額を上回ることが予想されます。
「私立高校無償化でも高い」と感じる場合は、進学前に公立高校の学費と比較することも重要です。1年あたりの学費は私立高校で75万362円、公立高校で30万9,261円が平均であり、3年間では120万円ほど私立高校が高くなります。
学費の内訳 | 私立高校(全日制) | 公立高校(全日制) |
---|---|---|
授業料 | 28万8,443円 | 5万2,120円 |
学校納付金等 | 11万5,808円 | 3万2,805円 |
入学金等 | 7万1,844円 | 1万6,143円 |
通学関係費 | 12万9,155円 | 9万1,169円 |
修学旅行費等 | 2万6,549円 | 1万9,556円 |
教科外活動費 | 4万7,013円 | 3万9,395円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 6万4,259円 | 5万3,103円 |
その他 | 7,291円 | 4,970円 |
合計金額 | 75万362円 | 30万9,261円 |
(参考:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」)
以下では私立高校と公立高校に分けて、卒業までの学費をシミュレーションしてみます。
学費の中でも入学金は、高校1年次のみにかかる費用です。そのため、まずは入学金等を除いた3年間の学費を計算します。
<3年間の学費>
(75万362円-7万1,844円)×3年間=203万5,554円
この金額に1年分の入学金等を加算すると、入学から卒業までにかかる大まかな学費を計算できます。
<学費の合計>
203万5,554円+7万1,844円=210万7,398円
なお、実際の学費は進学先や活動内容、お住まいの地域などによって変わるため、あくまで目安として参考にしてください。
公立高校の学費についても、上記と同じ流れでシミュレーションを行います。
<3年間の学費>
(30万9,261円-1万6,143円)×3年間=87万9,363円
87万9,363円+1万6,143円=89万5,506円
私立高校と比較すると、卒業までにかかる学費は120万円ほど安くなります。ただし、2020年4月からは私立高校も高等学校等就学支援金の対象になったため、所得要件を超えない世帯は授業料の差がなくなります。
学費が私立高校無償化でも高い場合は、国や自治体などの制度を活用すると、負担を抑えられる可能性があります。ここからは、学費を抑える3つの方法を紹介します。
高等学校等就学支援金は、住民税の所得割額を基準に計算されており、世帯ごとに支給額が変わります。満額を受け取れていない世帯は、所得控除の活用によって支給額が増えるかもしれません。
<私立高校無償化の基準>
◆所得割額が25万7,500円未満
→年間で最大39万6,000円の支給
◆所得割額が50万7,000円未満
→年間で最大11万8,800円の支給
◆所得割額が50万7,000円以上
→支給なし
住民税の所得割額は、課税所得金額をもとに計算されます。そのため、確定拠出年金や個人年金、生命保険などで所得控除を受けると、その年の所得割額を抑える効果があります。
なお、高等学校等就学支援金の判定は、年度が変わる度に行われます。転職などで世帯収入が増えたり、家庭事情によって適用される所得控除が変わったりすると、支給額が減ることもあるので注意してください。
学費を支払うお金がない場合は、国の教育ローンや学資ローンの利用も一つの選択肢です。奨学金とは違い、教育ローンや学資ローンは借入人が保護者となるため、子どもに返済の負担をかけずに済みます。
参考として、以下では国の教育ローンの概要をまとめました。
実施者 | 日本政策金融公庫 |
---|---|
主な条件 | ・通学先が融資対象の学校に含まれている ・世帯年収が一定額を超えていない ・1人につき350万円まで |
世帯年収の上限額 | 子どもの数によって以下のように変動する。 1人:790万円 2人:890万円 3人:990万円 4人:1,090万円 5人:1,190万円 |
金利 | 年2.25%の固定金利 |
返済期間 | 18年以内 |
資金の使い道 | ・高校や専門学校、大学、短大などの授業料 ・定期代などの交通費 ・パソコンや教材の購入費 など |
奨学金との併用 | 可能 |
(※世帯状況や通学先によって、条件や金利が変わる場合もある。)
銀行をはじめ、現在では金融機関も教育ローンや学資ローンを用意しています。さまざまなローンに目を通し、より良い条件で借入できるものを探してみましょう。
学費を払うお金がない世帯は、国や自治体の支援制度を探してみましょう。例えば、大阪府は国の就学支援金に上乗せする形で、私立高等学校等授業料支援補助金制度を実施しています。同じ授業料を支援する制度でも、自治体によって条件や支給額は異なるので、詳細を確認することが大切です。
国や自治体は、授業料以外の学費を支援する制度も実施しています。高等学校等就学支援金と併用をすれば、学費の大部分を賄えるかもしれません。私立高校に通うお金がない世帯は、以下の制度も確認しておきましょう。
奨学のための給付金は、授業料以外の学費を支援するために実施されている制度です。給付金の返還は不要であり、年間では最大15万2,000円の支援を受けられます。
<年間の給付額>
世帯の状況 | 私立高校 | 国公立高校 |
---|---|---|
生活保護受給世帯 (全日制等・通信制) | 5万2,600円 | 3万2,300円 |
非課税世帯(※) (全日制等) | 13万7,600円 | 11万7,100円 |
非課税世帯 (全日制等) | 15万2,000円 | 14万3,700円 |
非課税世帯 (通信制・専攻科) | 5万2,100円 | 5万500円 |
(※生徒本人に15歳~23歳未満の兄弟姉妹がいる場合)
本制度を利用する場合は、各都道府県の公式サイトから申請書などをダウンロードし、必要事項を記入してから学校または都道府県に提出します。提出時には生徒本人と保護者全員の証明書類が必要になるため、早めに準備をしておくことが大切です。2023年の申請期限は10月末に延長されていますが、基本的には毎年7月が期限になります。
高校生等奨学給付金は、2014年度から国が実施している支援制度です。後述の「奨学のための給付金」の一部を補助する形で、生活保護世帯や住民税の非課税世帯を支援しています。国の制度ではありますが、申請先は保護者が在住している都道府県になります。
お住まいの地域によっては、修学支援制度が用意されていることもあります。
例えば、京都府は私立高校に通う生徒を対象に、「私立高等学校あんしん修学支援事業」を実施しています。本制度は補助金を受け取れるものではありませんが、世帯状況に合わせて
授業料を含む学費が減免されます。各自治体の公式サイトなどを確認し、同様の修学支援制度を探してみましょう。
なお、都道府県による就学支援は、基本的に国の高等学校等就学支援金に上乗せする形で実施されています。国と自治体の制度を併用する場合は、原則として両制度の合算で支給上限額が決まるので注意してください。
世帯年収によっては高等学校等就学支援金を満額を受け取れなかったり、授業料以外の学費に悩まされたりする場合もあります。お金がない状況に困っている世帯に向けて、国や自治体は他にも支援制度を用意しています。授業料以外を支援する制度もあるので、私立高校への進学を諦める前に、まずはお住まいの地域で情報収集をしてみてください。
※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。
The post 私立高校無償化でも学費が高いのはなぜ?実際の負担はいくら? first appeared on Wealth Road.