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65歳以上:0円
退職金にかかる税金は、支給される方法や金額によって変わります。計算方法を理解した上で、ご自身のライフプランや目的に合った受け取り方を考えましょう。
退職金の受け取り方には、一括でまとめて受け取る一時金と、分割で受け取る年金があります。それぞれ所得区分や適用される控除が異なるため、仮に同じ100万円が支給される場合でも税金には違いがあります。非課税になる金額を細かくシミュレーションするために、まずは一時金・年金の計算方法から解説します。
退職金を一時金で受け取る場合は、その年の退職所得として扱われます。退職所得は分離課税方式であり、他の所得(給与や賞与など)とは切り離して税金を計算します。
退職所得に含まれるのは、勤務先からの退職一時金だけではありません。確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の一時金や、退職をきっかけに社会保険などで支払われる一時金、勤務先から支給される解雇予告手当なども、同じ退職所得として扱います。
次に、退職所得に適用される「退職所得控除」の計算方法を見てみましょう。
<退職所得控除の計算方法>
(源泉徴収前の収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得
勤続年数 | 退職所得控除額の計算方法 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(※80万円が下限金額) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
(※勤続年数の端数は1年に切り上げて計算する)
例として、以下では勤続2年の会社員が100万円の退職金を受け取ったとして、その年の退職所得を計算してみます(※退職金以外の退職所得はなし)。
<職所得控除額の計算方法>
40万円×勤続年数=退職所得控除額
40万円×2年=80万円
<退職所得の計算方法>
(源泉徴収前の収入金額-退職所得控除額)×1/2=その年の退職所得
(100万円-80万円)×1/2=10万円
このケースでは、10万円の退職所得に対して課税されることが分かりました。勤続20年を超えると退職所得控除額の計算式が変わるため、その点に注意しながらご自身のシミュレーションもしてみましょう。
退職金を年金で受け取る場合は、毎年の支給分を雑所得として扱います。雑所得は該当する収入の幅が広く、例えば副収入や老齢基礎年金、非営業用賃金の利子なども含まれます。その中でも、以下の公的年金等に含まれる収入には、公的年金等控除が適用されます。
<公的年金等に含まれるもの>
・勤務先から退職金として支給される年金
・国民年金や厚生年金で支給される老齢基礎年金
・確定給付企業年金法に基づいて支給される年金(iDeCoなど)
・共済組合法に基づいて、公務員などが受け取る年金
・外国の法令に基づく保険や共済から支払われる一部の年金
公的年金等に含まれる雑所得は、1年間に受け取った合計金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。参考として、以下では合計金額が1,000万円以下だった場合の速算表をまとめました。
年齢 | その年の合計金額 | 雑所得の計算方法 |
---|---|---|
65歳未満 | 60万円以下 | 0円 |
60万超~130万円未満 | 合計金額-60万円 | |
130万円~410万円未満 | 合計金額×0.75-27万5,000円 | |
410万円~770万円未満 | 合計金額×0.85-68万5,000円 | |
770万円~1,000万円未満 | 合計金額×0.95-145万5,000円 | |
1,000万円以上 | 合計金額-195万5,000円 | |
65歳以上 | 110万円以下 | 0円 |
110万超~330万円未満 | 合計金額-110万円 | |
330万円~410万円未満 | 合計金額×0.75-27万5,000円 | |
410万円~770万円未満 | 合計金額×0.85-68万5,000円 | |
770万円~1,000万円未満 | 合計金額×0.95-145万5,000円 | |
1,000万円以上 | 合計金額-195万5,000円 |
(※上記は2020年分以降の速算表)
1年間に受け取った合計金額が1,000万円を超えると、速算表の区分や計算方法が変わります。該当する方は、国税庁の公式サイトなどで制度の詳細を確認してください。
退職金を一時金で受け取る場合は、退職所得控除額が源泉徴収前の支給額を上回ると非課税になります。退職所得控除額は勤続年数から計算されるため、同じ支給額でも人によって非課税になるかどうかは変わります。
ここからは退職一時金の金額別に、勤続何年目で非課税になるのかをまとめました。確定拠出年金の一時金をはじめ、その他の退職所得は含まない形で計算をしています。
100万円の退職一時金は、勤続3年目から非課税です。端数を考慮すると、勤続が2年1日以上の人は税金がかかりません。
200万円の退職一時金は、勤続5年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が4年1日以上の人は税金がかかりません。
300万円の退職一時金は、勤続8年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が7年1日以上の人は税金がかかりません。
400万円の退職一時金は、勤続10年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が9年1日以上の人は税金がかかりません。
500万円の退職一時金は、勤続13年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が12年1日以上の人は税金がかかりません。
600万円の退職一時金は、勤続15年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が14年1日以上の人は税金がかかりません。
700万円の退職一時金は、勤続18年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が17年1日以上の人は税金がかかりません。
800万円の退職一時金は、勤続20年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が19年1日以上の人は税金がかかりません。
900万円の退職一時金は、勤続22年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が21年1日以上の人は税金がかかりません。
1,000万円の退職一時金は、勤続24年目から非課税になります。端数を考慮すると、勤続が23年1日以上の人は税金がかかりません。
退職金を年金で受け取る場合は、前述の速算表から雑所得を計算できます。以下では65歳未満と65歳以上に分けて、年金として受け取った場合の税金(年間)をまとめました。税率については2023年10月時点での所得税率と、10%の住民税率を採用しています。こちらのシミュレーションも、他の収入や公的年金等を含まない形で計算を行います。
年間100万円の年金を受け取った場合、65歳未満では40万円に対して税金がかかります。一方、65歳以上では公的年金等控除によって全額が控除されます。所得税と住民税を合計すると、65歳未満の税額は6万円、65歳以上の税額は0円になります。
年間200万円の年金を受け取った場合、65歳未満では122万5,000円、65歳以上では90万円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、65歳未満の税額は18万3,750円、65歳以上の税額は13万5,000円になります。
年間300万円の年金を受け取った場合、65歳未満では197万5,000円、65歳以上では190万円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、65歳未満の税額は29万7,500円、65歳以上の税額は28万5,000円になります。
年間400万円の年金を受け取った場合は、272万5,000円に対して税金がかかります。年齢によって雑所得の金額が変わることはありません。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は44万7,500円です。これ以降のシミュレーションについても、雑所得と税額は全年齢で共通になります。
年間500万円の年金を受け取った場合は、356万5,000円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は64万2,000円です。
年間600万円の年金を受け取った場合は、441万5,000円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は89万7,000円です。
年間700万円の年金を受け取った場合は、526万5,000円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は115万2,000円です。
年間800万円の年金を受け取った場合は、614万5,000円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は141万6,000円です。
年間900万円の年金を受け取った場合は、709万5,000円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は139万1,850円です。
年間1,000万円の年金を受け取った場合は、804万5,000円に対して税金がかかります。所得税と住民税を合計すると、1年間の税額は201万8,850円です。
退職金にかかる税金は、受け取り方によって大きく異なります。一時金の場合は勤続年数、年金の場合は受け取ったときの年齢に左右されます。それぞれの計算方法を正しく理解し、ご自身に合った受け取り方を考えましょう。
※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。
The post 退職金100万円~1,000万円までの税金は?勤続何年目で非課税? first appeared on Wealth Road.