【研究成果の概要】 l OLL2712株を含む発酵乳を糖尿病予備群の成人が12週間摂取することで、摂取前および同乳酸菌を含まない発酵乳を摂取した場合に比べてHbA1cが有意に低下しました。2件のヒト対象研究で同様の結果となり再現性が確認されました。 l OLL2712株を摂取終了後の後観察期間には、HbA1cは徐々に摂取前の値に近づきました。HbA1cは過去1~2か月間の平均血糖値を反映するため、16週後では同乳酸菌摂取の効果が見られましたが、20週後では群内および群間の有意差がなくなりました。 l 以上の結果から、OLL2712株を長期摂取することで血糖コントロールを改善し、2型糖尿病の発症リスクを低減できる可能性が示されました。
【研究の概要】 試験1 HbA1cが5.6%以上6.4%以下かつ空腹時血糖値が100mg/dL以上125mg/dL以下の健常成人を被験者としました。130名を2群(各群65名)に分け、1つの群にはOLL2712株の加熱菌体を5×109個以上配合した112gの発酵乳(OLL2712株入り発酵乳)を12週間毎日1個摂取していただき、他方の群にはOLL2712株が入っていない発酵乳(プラセボ)を同様に摂取していただきました。 その結果、以下の変化が認められました。 ① 摂取前と比べて12週間摂取後に両群共にHbA1cが有意に低下しましたが、OLL2712株入り発酵乳摂取群ではプラセボ群と比べても有意にHbA1cが低下しました。 ② 摂取前と比べて12週間摂取後にプラセボ群ではインスリン抵抗性指標(HOMA-IR)の有意な上昇が認められましたが、OLL2712株入り発酵乳摂取群ではHOMA-IRが上昇せず正常に維持されました。
試験2 HbA1cが5.6%以上6.4%以下の健常成人を被験者としました。148名を2群(各群74名)に分け、1つの群にはOLL2712株の加熱菌体を5×109個以上配合した112gの発酵乳(OLL2712株入り発酵乳)を12週間毎日1個摂取していただき、他方の群にはOLL2712株が入っていない発酵乳(プラセボ)を同様に摂取していただきました。また、8週間の後観察期間を設けて摂取終了後の指標の推移も観察しました。 その結果、以下の変化が認められました。(図2) ① 摂取前と比べて12週間摂取後に両群共にHbA1cが有意に低下しましたが、OLL2712株入り発酵乳摂取群ではプラセボ群と比べても有意にHbA1cが低下しました。(試験1の再現性が確認できました) ② 摂取前と比べて16週後では、OLL2712株入り発酵乳摂取群でのみHbA1cが有意に低下し、プラセボ群と比べても有意な低下が認められました。HbA1cは過去1~2か月間の平均血糖値を反映するため、上述の結果はOLL2712株の摂取による効果と考えられます。 ③ 20週後(後観察8週後)では、摂取前と比べて有意差は見られなくなり、プラセボ群と比べても差がありませんでした。 【考察】 近年、発酵乳や特定の乳酸菌に糖代謝改善作用があることが報告されています。今回、2件のヒト対象研究の結果より、OLL2712株の摂取によりHbA1cが低下することが実証されました。後観察期間の推移も踏まえると、より長期間摂取することでより大きな効果が期待されます。また、本研究ではプラセボである発酵乳自体にも摂取前後比較で糖代謝改善作用が認められましたが、OLL2712株を含む発酵乳ではHbA1cの低下作用がさらに大きいことが示されました。今回の研究成果からOLL2712株を含む発酵乳は血糖コントロールの改善に適した食品であると考えられます。