2023年9月5日
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団

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 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地︓東京都港区、理事長︓中島治男、略称:日本GIF)は、7月27日(木)14時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、元環境省環境影響評価課長で株式会社日比谷アメニス取締役の上杉哲郎氏を講師にお迎えし、「環境への配慮と復興:東日本大震災の経験を踏まえたウクライナ復興の方向性」をテーマにセミナーを開催しました。

開催の趣旨
 ウクライナの戦災からの復興は、世界で最も大きな関心事のひとつであり、緊急性の高い課題です。日本GIFは、今年5月に、東日本大震災からの復興枠組みをウクライナ復興に生かすための方策についてのセミナーを開催しました。前回のセミナーのテーマでもあった「迅速かつ質の高い復興 (quick and quality recovery)」の実現には、規制だけにとらわれない、柔軟な対応が必要です。また、環境への影響に関する規制について、東日本大震災発生直後から日本で行われてきた施策の中には、今後ウクライナが復興を果たしていく過程においても、貴重かつ実務的な情報が含まれると考えられます。
 今回のセミナーでは、東日本大震災発生後に環境影響評価法業務を担当された、元環境省環境影響評価課長で株式会社日比谷アメニス取締役の上杉哲郎氏をお迎えし、東日本大震災からの復興における環境アセスメントの実務に焦点を当て、日本の経験を踏まえたウクライナ復興への貢献について検討しました。

講演要旨
 今回のセミナーで上杉氏は、まず環境アセスメント法(以下アセス)の歴史と、アセスの概要、法整備、対象事業、プロセス等について説明。次いで東日本大震災における実例として、発電所以外の場所での発電設備の設置、土地区画整理事業における環境保全への配慮、東日本大震災復興特別区域法での手続き簡素化、発電所事業にかかるアセスの迅速化等について報告しました。

 講演のまとめでは、災害からの復旧においてはインフラ整備と環境保全の両立が必須であること、緊急性の高い復旧かあるいは中長期的な復興かの判断も重要であること、地域や事業の特性に応じた手順の判断も重要であることを話しました。

 講演後の質疑応答では、平常時と非常時のアセスの違い、紛争への備え、仮設インフラの長期間利用への対応等、多くの質問が飛び交いました。「ウクライナのエネルギーインフラ再建における再生可能エネルギー導入」に関する質問に対しては、「ヨーロッパ等では再生可能エネルギーを固定価格で買い取るFIT(Feed-in Tariff)という仕組みが導入されている」など、具体的なアクションについても示唆がありました。

 セミナー終了後のアンケートによると、「東日本大震災と環境アセス」、次いで「ウクライナへの提言」のパートへの関心が高かったことがわかりました。参加者からは、「環境アセスメントの考え方自体は知っていたが、非常時にも復興と両立できるとは知らなかった」「対象国・地域の自然的・社会的特性に応じたアセスが必要」等の回答が寄せられ、ウクライナ復興への関心の高さが見て取れました。

セミナーの概要は以下の通りです。

セミナー概要
主 催:公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)
日 時:2023年7月27日(木)14:00~15:30
開催形式:Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)
講演者:上杉 哲郎(元環境省環境影響評価課長、株式会社日比谷アメニス取締役)
司会者:中山 幹康(日本GIF専務理事)
セミナー動画 https://gif.or.jp/seminar_youtube/ukraine_eia-2/

講師略歴
上杉哲郎(うえすぎてつろう)
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1981年、環境庁入庁。環境庁/環境省では、国立公園管理官(阿寒、白山)、国立公園計画、世界自然遺産、生物多様性保全、外来生物対策、環境基本法・環境基本計画,環境アセスメントなどに携わる。国土交通庁出向(全国総合開発計画)、長崎県出向(自然保護課長)、宮内庁出向(庭園課長)も経験。国立公園課長、環境影響評価課長を経て、2016年6月、関東地方環境事務所長を退職。2016年9月、㈱日比谷アメニスに再就職。現在、取締役環境緑花研究室長。
環境アセスメント学会常務理事、日本造園学会会員、(一社)街路樹診断協会会長。

 
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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 オンラインセミナー「環境への配慮と復興: 東日本大震災の経験を踏まえたウクライナ復興の方向性」を開催