【サステナブルな酪農の実現に貢献する取り組み①】
温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けて削減効果の高いポイントを把握するため
国内初の牛乳生産に関わるカーボンフットプリント(CFP)算定に着手
~牛乳の原材料の購入・輸送に関わる工程がGHG排出量の91%を占めるという結果に~
                                      
 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、日本国内で初めて牛乳生産に関わる「カーボンフットプリント(CFP)」算定を検討し、酪農家の実データに基づき実際の商品におけるCFPの算定に着手しました※1。その結果、原材料の購入・輸送に関わる「上流」の工程が温室効果ガス(以下GHG)※2排出量全体の91%にのぼるという結果※3となりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202303254242-O1-X2dK9a0N
 
 カーボンフットプリント(Carbon Footprint of Products:略称CFP)とは、商品・サービスがつくられてから廃棄されるまでのライフサイクルの各工程で排出されたGHGの排出量を追跡した結果をCO2に換算し、表示することをいいます。商品・サービスの環境負荷を定量的に算定することでサプライチェーン全体の排出量を「見える化」し、削減効果の高いポイントを把握しやすくなります。
 当社では、国内で初めて、世界標準に則り、牛乳生産に関わるCFPの算定を酪農家の実データを収集して検討し、実際の商品におけるCFPの算定を行いました。本取り組みのポイントは以下の3点です。

・国際団体のガイドラインを参考とした算定方式
・酪農家の実データに基づき算定
・国内乳業メーカーでは例をみない日本初の取り組み

 今回の算定を実施するにあたり、当社独自の基準を設けるのではなく、国際基準を基にしたプログラムである「EPD※4」、および国際酪農連盟(IDF)が定めた世界基準を参照し実施しています。実務上、産業の平均値などのデータベースの数値(2次データ)を用いて推定されることもありますが、自社のサプライチェーンの実績値(1次データ)そのものを収集してのCFP算定がより望ましいとされています。自社工場でのデータ収集やCFP算定については、これまでの経験が無くかなりの負荷を要しますが、さらに、原材料調達分野における実績値の収集は、サプライヤーの情報共有や情報収集の業務負担・ノウハウが求められるため取り組みの難易度が高く、それへの対応が大きな課題となっています。
 今回、酪農家の協力のもと、当社担当者と酪農家が密に連携をとり、酪農経営にかかる実データの収集を行うことにより、「明治オーガニック牛乳」のCFP算定を実施しました。その結果、原材料の購入・輸送に関わる「上流」の工程がGHG全体の91%にのぼるという結果となりました。この結果は、世界的に示されている牛乳におけるGHG排出量に近しい結果となりましたが、「日本の酪農家の実データでの算出」は、日本の酪農家や乳業界にとって今後のGHG排出量の削減の意義を強く感じられる取り組みになったと考えております。
 当社は、乳業メーカーの使命として酪農業におけるGHG排出量削減へのチャレンジを惜しまず、得意分野の異なるさまざまなパートナーと一体となり、ミルクサプライチェーン全体での取り組みをより一層強化してまいります。
 この中で、当社はCFP算定とともに、酪農・乳業においてGHG排出量削減と経済価値創出を同時に実現する「Jクレジット制度※5を活用したビジネスモデル」の構築に向けた協業を開始しました。今後はさらに、酪農の大きな課題である呼気メタンの削減に向けた取り組み、土壌に着目したカーボンファーミング※6など、さまざまな角度から酪農家と一体となり、削減への努力を続けていきます。
 当社では、こうした取り組みが、日本の酪農・乳業界全体のGHG排出量削減を進め、サステナブルな酪農の実現に向けた後押しとなり、食卓に当たり前のようにある牛乳・乳製品をこれからも変わらずにお届けできるよう、ミルクサプライチェーン全体で取り組んでいきたいと考えています。

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明治グループのGHG排出量削減目標(2019年比)
 明治グループのGHG排出量削減目標は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、自社での排出量にあたるScope1、Scope2では2030年に50%の削減、2050年までに実質ゼロを目指しています。原材料の生産・調達や輸送、製品の輸送や廃棄など自社以外の間接排出にあたるScope3では、2030年までに30%の削減、2050年までに実質ゼロを目指します。
 詳細は明治ホールディングス株式会社 ホームページの「サステナビリティ」コンテンツでも紹介しています。
https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/

 
※1 酪農乳業の国際団体である国際酪農連盟(IDF)が発表した「酪農乳業セクターのためのカーボンフットプリント世界標準(The IDF global Carbon Footprint standard for the dairy sector)」を参考にして、酪農家より収集した1次データに基づくCFPの算定を、日本で初めて実施しました。
※2 温室効果ガス(GHG)…(Greenhouse Gas)は、熱(赤外線)を吸収する性質をもつ大気中のガスを指します。温室効果ガスが増えると、温室効果が強くなり地表面の気温が上がることから、地球温暖化とそれによる異常気象につながる主な原因として問題になっています。人間の活動によって増加した主な温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロンガスがあります。なお、温室効果の大きさは気体によって異なり、例えばメタンは二酸化炭素の25倍、一酸化二窒素は約300倍の温室効果があるとされています。(参考:環境省ホームページ)
※3 今回の算定は「明治オーガニック牛乳(2021年度旭川工場製造分)」にて算定した数値です。
※4 EPD…Environmental Product Declarationの略称で、LCAに基づく製品の環境情報を公開するタイプIII環境宣⾔。
※5 J-クレジット制度…省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2などの排出削減量や、適切な森林管理によるCO2などの吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が発展的に統合した制度であり、国により運営されています。J-クレジット制度により創出されたクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、さまざまな用途に活用できます。(参考:J-クレジット制度ホームページ)
※6 カーボンファーミング(Carbon Farming)とは、大気中のCO2を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させ温室効果ガスの排出削減を目指す農法で、いわゆる環境再生型農業を指します。(参考:農林水産省ホームページ)

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 サステナブルな酪農へ①「国内初の牛乳生産に関わるカーボンフットプリント(CFP)算定に着手」