~輸入に依存する中、完全国産種苗による効率の良い養殖をめざす~

2021年10月11日
リージョナルフィッシュ株式会社
株式会社奥村組
株式会社NTTドコモ
岩谷産業株式会社

 リージョナルフィッシュ株式会社(以下、リージョナルフィッシュ)、株式会社奥村組(以下、奥村組)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、岩⾕産業株式会社(以下、岩谷産業)の4社は、各社の強みとなる技術を結集し、バナメイエビ※1養殖の最適な⽅式・条件を確⽴する実証実験を開始します。バナメイエビの国産種苗⽣産に成功したリージョナルフィッシュと日本有数の技術⼒を有する各社のオープンイノベーションにより、最高の生産性を実現させるバナメイエビ養殖パッケージの完成をめざします。
                          
バナメイエビ種苗                 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202110081345-O6-0cL4w53t

 バナメイエビは、世界で最も食されているエビです。1尾15~18グラム程度の小型サイズが主流で、日本では寿司、エビフライ、むきエビなど幅広い用途で使われています。このバナメイエビの種苗(養殖のための稚エビ)は海外から輸入することが多く、度々海外由来の特定疾病※2による被害が発生しています。こうした疾病の発生により、時には購入したバナメイエビの種苗が全滅することもあり、養殖業者を悩ませています。
 これらの課題を解決するため、4社は、国産のバナメイエビの種苗を用いて、最適な養殖方法の検討を開始します。200トン⽔槽3基を⽤いて、閉鎖循環式養殖※3とバイオフロック養殖※4の2種類の養殖方法を同時に実施し、各⽅式のメリット・デメリットを抽出することで最適な養殖⽅式の選択および改良の⽅向性を模索します。
 バナメイエビ養殖で主流となっている閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖は、水の入れ替えを一切行わないため、病気発生のリスクを下げる利点があります。
 しかし、実際の養殖場の規模ではこの両方式を比較検証した例がなく、どちらが優れているか明らかになっていません。これらをICTなどの活用により比較検証いたします。

 
【閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖の模式図】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202110081345-O7-z0jF478J

 
 リージョナルフィッシュ、奥村組、ドコモ、岩⾕産業は、各社の強みを生かした技術を結集させ、オープンイノベーションを推進し、持続可能な水産業の実現に貢献してまいります。

 

【各社役割】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202110081345-O8-CD0I6ZPI
【養殖⽔槽の構築と養殖の実施】
①奥村組の閉鎖循環式養殖システムの構築
奥村組は、閉鎖循環式養殖のシステム構築、閉鎖循環式養殖を実施します。本実証試験で各種機能の最適化を検証し、当該システムの安定運用をめざします。

②リージョナルフィッシュの国産種苗の提供とバイオフロック養殖システムの構築
リージョナルフィッシュは、バナメイエビの国産種苗を提供し、バイオフロック養殖を実施します。また、世界で初めて成功したバナメイエビのゲノム編集を活用して、品種改良を進めてまいります。

【⽔質の遠隔監視と⽣育に適した養殖環境の構築】
③ドコモのICTブイをベースとした⽔質遠隔監視システム
ドコモが提供するICT水質遠隔監視装置により、⽔温、溶存酸素、塩分、pH等の⽔質測定データをスマートフォンで確認できる、「ウミミル」アプリを提供します。また他社のセンサーによるデータ(アンモニアなど)をAPI連携にて「ウミミル」で提供します。

④岩⾕産業の酸素溶解装置による⾼効率酸素供給
陸上養殖において、効率的な酸素供給は必要不可欠であり、岩谷産業は、高濃度酸素溶解装置を用いて、溶存酸素濃度を最適な状態に制御することで、収量増加の実現をめざします。

 

※1 バナメイエビは、世界で最も食されているエビであり、年間で500万トン・10兆円規模を消費する市場があります(出典 FAO 2019年)。
※2 特定疾病とは国内における発⽣が確認されておらず、または国内の⼀部のみに発⽣している養殖⽔産動植物の伝染性疾病であって、まん延した場合に養殖⽔産動植物に重⼤な損害を与える恐れがあるものとして農林⽔産省令で定めるものをいいます(持続的養殖⽣産確保法第2条第2項、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000051)。 
※3 閉鎖循環式養殖とは、ろ過システムを用いて飼育水を浄化しながら循環利用する養殖方式です。
※4 バイオフロック養殖とは、養殖水中に炭素源を添加することでバイオフロックと呼ばれる微生物の塊を生じさせ、微生物の力で水質浄化を図る養殖方式です。

 
■リージョナルフィッシュ株式会社 概要
代表:代表取締役社長 梅川 忠典
所在地:京都市左京区吉⽥本町36番地1 京都⼤学国際科学イノベーション棟
URL:https://regional.fish/

■株式会社奥村組 概要
代表:代表取締役社長 奥村 太加典
所在地:大阪市阿倍野区松崎町2-2-2
URL:https://www.okumuragumi.co.jp/

■株式会社NTTドコモ 概要
代表:代表取締役社長 井伊 基之
所在地:東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー
URL:https://www.nttdocomo.co.jp

■岩谷産業株式会社 概要
代表:代表取締役社長 間島 寬
所在地:大阪市中央区本町3-6-4
URL:http://www.iwatani.co.jp/

 

 

別紙

プロジェクトリーダーコメント
〇リージョナルフィッシュ 研究開発部 無脊椎育種グループリーダー 荻野哲也
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202110081345-O10-3PYL060n
バナメイエビは、世界で最も生産量の多い甲殻類です。東南アジアを中心に養殖が盛んであり、日本はほぼ輸入に依存しております。日本でも養殖の新規参入が進む中、養殖業者は、全滅することもある病気のリスクに悩まされています。この悩みから解放されるために、外から水を入れない閉鎖型の養殖システムの開発が世界各国で精力的に行われていますが、主流となる閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖の2方式を養殖規模で同時に比較した例はほとんどありません。本プロジェクトでは水質の管理・維持を行う最新機器を導入しながら2方式を比較し、バナメイエビの養殖に最高の生産性をもたらす養殖パッケージをめざします。現時点において、東南アジアが圧倒的に有利な状況であるため、国内勢は養殖技術開発を競争領域ではなく協調領域として、さらにパートナーを募り、オープンイノベーションを進めていければと思います。病気のリスクを払拭でき、高い生産性を実現する、日本式の養殖パッケージが、世界中どこに行っても見られる日を思い描きながら、開発に取り組みたいと思います。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 バナメイエビの「スマート養殖」最適パッケージ化の実証試験を開始