2021年3月8日

くら寿司株式会社

くら寿司と漁業者が取り組むSDGsアクション
 国産天然魚の美味しさを次世代に継承するために!
 魚を愛しすぎるくら寿司社員と漁師たちが挑む
 海と魚を守って生かす独自戦略「漁業創生への取り組み」

 「漁業の持続可能な発展」は世界的な課題となっており、SDGsでも目標の1つに掲げられています。くら寿司では、限りある海洋資源を守るとともに、国内の漁業者の皆さまとの共存共栄を目指す「天然魚プロジェクト」を2010年から開始し、10年以上取り組みを行っています。今回は、当社担当の大濱と現場の漁業者様から、概要と漁業の未来に向けた取り組みについて、ご紹介いたします。(一部取り組みの詳細は、WEBサイトでもご確認いただけます。https://www.kurasushi.co.jp/mirai/fish.html

商品本部 購買部
天然魚プロジェクト マネージャー 大濱喬王(おおはまたかお)
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2015年入社。水産大学校卒業後、4年半カーディーラーで
営業職を務めるも、大好きな魚の仕事がしたく、くら寿司に入社。
専門知識を生かし、天然魚プロジェクトの担当バイヤーに就任。
魚の知識はくら寿司随一!

■日本漁業のSDGs達成に向けて、くら寿司と漁業者の主な取り組み
❶新事業や契約買いなどで収入の安定化、漁業就業者(後継者)の増加へ
 水産庁の水産白書によると、日本における漁業就業者数は、一貫して減少傾向。新規就業者数も約2000人程度と横ばいで推移しています。事業の中核を担う方々の高齢化や後継ぎの不足など、今後も人手不足や事業の終息化が大きな課題となっています。多くの水産物を取り扱うくら寿司としても、今後の事業継続や拡大、お客様に美味しい魚を提供するためには、漁業就業者様との協力・連携は必要不可欠と考えています。
 くら寿司では、2010年から開始した「天然魚プロジェクト」をはじめ、漁業創生の取り組みとして、様々な活動を漁業者の皆様と行っています。

〇一船買い(2015年4月から開始)
 「一船買い」とは、網にかかった魚を、どんな種類、大きさの魚でも、くら寿司が全て一定の価格で買い取るという契約。現在、鷹巣漁港(福井県)、魚島(愛媛県)、小田漁港(香川県)の全国3か所の漁港で実施。今後も契約先を拡大する予定です。

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〇漁業就業支援の取り組み(2020年1月発表、2021年2月寄付)
 「循環フィッシュ」(※)の売上の一部を、全国漁業就業者確保育成センターに寄付。漁業の新規就業者を発掘・育成するための資金に活用いただき、次世代の漁業を支える新たな担い手の確保を通じ、漁業の持続的な発展を目指していきます。(※「循環フィッシュ」…国産天然魚の骨やアラなど商品化しにくい部位を魚粉に加工し、餌に使用する魚粉の一部として活用して育てた魚)

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「一船買い」契約を行っている漁師さんの声
●社会情勢や市場価格に左右されず、安定した収入源を確保できる
 近年の漁獲量の減少と燃料油の高騰などに加え、魚価が安定せず、価格も年々低下していく中で、漁獲物を全量買い取ってくれることは大きなメリットだと感じました。既存の売り先の価格が低下し、新たな売り先を模索していたので、より魅力を感じました。混獲で獲れた幼魚、稚魚などは放流するなど、今まで以上に漁獲物を大切にするようになりました。

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魚島(愛媛県) 佐伯雅彦様

くら寿司担当者の思い
●美味しい魚を安定した価格でお客様に提供することができる
 市場全体の漁獲量に左右されずに、安定した量と価格で仕入れることができるため、お客様にお手頃な価格で美味しい魚を提供するができています。獲れた魚を捨てることなく、全て買い取り、その魚に適した活用法を見出すことで、資源の有効活用にもつなげています。
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❷新たな加工・養殖方法による低利用魚の商品化など資源の有効活用、付加価値の提供
 普段は取り扱いの少ない低利用魚や生育が必要な未成魚などの付加価値を高め、商品化を行うことで、限られた海洋資源の有効活用につなげています。

〇さかな100%プロジェクト(2018年5月から開始)
 国産天然魚を余すことなく100%活用するくら寿司独自の取り組み。国産天然魚を加工する際に出る骨やアラを魚粉に加工し、この魚粉を養殖魚用飼料に使われる魚粉の一部として活用。この飼料で育てられた高付加価値な魚であり、環境にも優しい取り組みにより生まれたものが循環フィッシュです。

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〇魚育プロジェクト
 定置網漁の際に成魚とともにかかってしまった未成魚は、格安での取引もしくは、リリースや廃棄されていました。当社は、ねり天やコロッケの材料にするなどに活用していましたが、用途が限られていました。そこで2019年10月から、ハマチの未成魚を養殖用の生けすにて養殖を開始。成魚まで大きく育てることで、商品化を実現しました。

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 また、海藻を主食とすることから磯焼け(※)の原因とされ、駆除対象となるなど、海の“厄介者”扱いされているニザダイの商品化を実現。身の部分に独特のにおいもあり、商品化にはハードルがありました。そこでくら寿司は神奈川県水産技術センターの「ウニのキャベツ養殖」をヒントに、紀州日高漁協(和歌山県御坊市)と協働で2020年9月から養殖を開始。廃棄予定のキャベツを与えることでそのにおいが軽減され、本来ニザダイが持つ良質な脂のりや身質をおいしく味わえる商品になりました。 
※水産物の産卵・育成に重要な役割を果たす、海藻が大規模に消失する現象。

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循環フィッシュなど養殖業を行っている漁師さんの声
●新たな付加価値を持った商品を販売することで、経営の安定に
  みかん鯛・みかんぶりなどの新たな魚種を開発し付加価値を付けて販売し経営の安定につながった。これまで自分が育てた魚がどこで食べられるか、知らなかったが、くら寿司で食べられるようになって作りがいができた。よいものを多くの人に食べてもらえるように頑張ろうと日々努力するようにしています。

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(有)中田水産 代表取締役 中田 力夫様

くら寿司担当者の思い
●これまで提供できなかった魚に付加価値を付けることで資源の有効活用に
 これまで扱いが難しかった魚を新たな形で、全国のお客様に食べていただけるような仕組みを作れたのは、当社や日本の漁業として、大きな1歩だと考えています。
 今後も、これまで地元でしか食べて来られなかった、もしくは厄介者とされていた魚などの活用法を編み出し、全国の皆様に美味しい魚をもっと知っていただきたいと思っています。
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❸コロナ禍で行き場を失った魚の商品化、継続的な事業のサポート
 新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの飲食店が営業自粛を余儀なくされ、それに伴い生産者側は、販路が減少し、出荷できないまま生けすで保管されている魚の取り扱いが社会問題となりました。くら寿司では、苦境に立たされる漁業者様と共にコロナ禍の厳しい状況を乗り越えようと、2020年6月から養殖真鯛と養殖すずきを買い取り、商品化につなげ、今後の養殖事業の継続に向けて協力して取り組んでいます。

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養殖真鯛を育てている漁師さんの声
●2019年3~5月の出荷量が半減。救世主が現れ、大変助かった
  新型コロナウイルスの影響で、2020年3~5月の出荷量は、4割程度にまで落ち込み、6割がいけすに取り残されていました。餌代のコスト増加や次の稚魚の準備ができないなど、大変頭を抱えていました。そんな中、10年来のお付き合いのあるくら寿司さんから、買い取りのご提案をいただいたことは、とても感謝しております。

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(有)中田水産 代表取締役 中田 力夫様

くら寿司担当者の思い
●コロナ禍で苦境に立たされる漁業者様と共に厳しい状況を乗り越えようと、関係構築をさらに高めることができた
 新型コロナウイルスの影響で、当社としても苦しい状況でしたが、それよりも苦しまれていたのは、取引先の漁業者様でした。いつも美味しい魚を提供してくださる皆さまとともに、この苦境を乗り越えたいという思いで、買い取り・商品化を決意いたしました。
 まだまだ苦境は続きますが、持続的な漁業の発展のため、これからの皆さまと協力していきたいと考えています。
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■日本漁業の更なる発展に向けて、くら寿司と漁業者様が目指す未来とは
(有)中田水産 代表取締役 中田 力夫様

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日本の水産業を後世に残すという思いに共感した
 相談をいただいた時は、自分の代で養殖業は終わらせようと考えていました。しかし、積極的かつ一緒に新しい取り組みを展開することや、産地に寄り添い共に頑張ろうと励ましてくれる姿に魅力を感じ、事業を継続し長男を継がせる決意をしました。

次世代の若者や女性などが水産業にもっと携わる体制を作っていきたい
 今後、何十年先も後継者が育つ環境作りと人手を削減した養殖の在り方をくら寿司さんと考えていきたい。また、陸の仕事と同じように週休2日制などが取れ、若者・女性が水産業により携われる体制も一緒に考えてほしい。
 フードロスの削減、餌代のコストダウン、餌の廃棄などの課題を解決し、海洋環境が改善できたらすばらしいと思う。


魚島(愛媛県) 佐伯雅彦様

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一船買いのシステムの長期継続と発展をしていきたい
 自分たちが獲ってきた魚が、どこでどのように売られているかを知ることによって、顧客の顔が見えるようになり、仕事のモチベーションが上がりました。同業者、漁師同士でのチームワークが生まれ、他業者との交流も生まれました。
 今後は、地域の特産品などとのコラボ企画の実施など、更なる事業の持続的な発展と魚島の魅力を発信していきたいです。

新規漁業就業者の受け入れ強化や海洋問題の本質的な解決に向けた活動
 後継者不足の解消にむけて、新規漁業者の増加を目指したい。また、現場の受け入れ体制の強化や漁業の実態をより多くの若者に知ってもらうために、情報発信をくら寿司さんに期待したいです。また、海洋問題に関しては、稚魚放流だけではなく、漁獲安定のための政策を強化して欲しいと思います。


くら寿司 天然魚プロジェクト マネージャー 大濱喬王
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まだまだ知られていない国産天然魚の魅力を届けたい
 日本には、まだまだ知られていない天然魚がたくさんあります。各地の地元でしか食べられていない魚をもっと幅広い方々に食べてほしい、知ってほしいと思っています。これまでもシイラやボラ、ニザダイといった低利用魚の活用に取り組んできましたが、今後も、一般の方に馴染みの薄い魚の商品化に向けて社内外の様々な専門家と協議を進めています。

今後さらに漁業者様との連携を強化していきたい、一船買いの新規開拓は年に1つは行いたい
 まだ開拓できていない漁場が日本にはたくさんあります。全国の漁業者様との連携を強化し、より良い商品をお客様にお届けできるように、展開していきたいと考えています。一船買いは、鷹巣漁港、魚島、小田漁港の全国3か所の漁港で現在実施しています。今後も更なる拡大を検討していきたいです。


情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 くら寿司と漁業者のSDGsアクション 海と魚を守って生かす独自戦略「漁業創生への取り組み」