2016年11月24日



株式会社  電 通



電通総研『話題・注目商品2016』レポート

◆「生活者が選ぶ話題・注目商品2016ランキング」

 1位は「ポケモンGO」

◆2016年は、生活者が商品やサービスの楽しみ方を見つけ広げていく

 「コンテンツ・スタイリング」消費が加速した年



 毎年、電通総研は、その年の話題・注目商品の調査を通じて、時代の気分や消費の深層トレンドを分析しています。本レポートでは、「生活者が選ぶ話題・注目商品2016ランキング」と、ランキングをもとに分析した「2016年の消費トレンド」をご紹介します。



1.生活者が選ぶ「話題・注目商品2016ランキング」

 「話題・注目商品2016ランキング」は、事前調査などで抽出した120の商品・サービスについて、全国の15~69歳の男女を対象にインターネットでのアンケート調査を行い、「今年流行った・流行っている」をベースに作成したものです。



【生活者が選ぶ話題・注目商品2016ランキング ベスト30】

1位   ポケモンGO

2位   「君の名は。」

3位   リオデジャネイロ・オリンピック/パラリンピック

4位   広島東洋カープ セ・リーグ優勝

5位   PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン )/ ピコ太郎

6位   「こちら葛飾区亀有公園前派出所」

7位   ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

8位   「シン・ゴジラ」

9位   ハロウィン

10位  「真田丸」

11位  ふるさと納税

12位  YouTuber(ユー・チューバ―)

13位  Instagram(インスタグラム)

14位  ドローン

15位  ラグビー日本代表

16位  連続テレビ小説「あさが来た」「とと姉ちゃん」

17位  「おそ松さん」

18位   iPhone 7

19位   伊勢志摩サミット

20位  「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」

21位  モンスターストライク

22位  新型プリウス

23位  18歳選挙権

24位  格安スマホ/格安SIM

25位  スカーチョ/スカンツ

26位  インバウンド

27位  メルカリ(フリマアプリ)

28位  3Dプリンター

29位  北海道新幹線

30位  グリーンスムージー



 2016年は、熊本地震や外国人観光客のインバウンド消費の落ち着きなどに伴う、小売業の売り上げ減などが、生活者に先行きの不透明感を感じさせました。その結果、消費意欲も力強さを欠き、生活防衛志向が残る一年となりました。

 その一方で、「ポケモンGO」や「シン・ゴジラ」「君の名は。」といった久々の大ヒット日本映画の登場、スポーツでは「リオデジャネイロ・オリンピック/パラリンピック」での日本人選手の活躍やプロ野球の「広島東洋カープ セ・リーグ優勝」など、明るい話題も多くみられました。

 今回の「話題・注目商品2016」ランキングでも、そうした世の中の流れを反映し、新しい消費を感じさせるものが多く並んでいます。

 1位となった「ポケモンGO」は、現実世界とポケモンというバーチャルな世界をスマートフォンを通じて融合し、まるで自分がゲームの世界に入り込んでいるような新しい体験を提供しました。

 2位の「君の名は。」や8位の「シン・ゴジラ」は、細部まで作り込まれた内容であるがゆえに、何度も映画を鑑賞したり、新しい切り口を発見して仲間同士で共有したりと、鑑賞者一人一人がさまざまな楽しみ方をしているのが特徴的です。

 3位の「リオデジャネイロ・オリンピック/パラリンピック」や4位の「広島東洋カープ セ・リーグ優勝」、15位の「ラグビー日本代表」は、一人のスーパースターのプレーに魅入られる以上に、チーム力で偉業を達成し、その姿を仲間で応援するあり方が、スポーツと生活者の新しい関係性を生み出しました。





2.2016年の消費トレンド

 「話題・注目商品2016ランキング」から、次の5つの新しい消費トレンドが見えてきます。



1)楽しみ方のダイバーシティーが加速

 本年も多くのイベントやコンテンツが話題・注目商品の上位にあがりました。「君の名は。」や「シン・ゴジラ」は、鑑賞者が興味を持った部分をSNSなどで語り、それに興味を持った人が鑑賞し、さらに新たな楽しみ方を発見、共有する形でヒットしていきました。「リオデジャネイロ・オリンピック/パラリンピック」や「広島東洋カープ セ・リーグ優勝」などのスポーツの話題も同様に、向けられる楽しみ方は多様なものとなりました。気軽に写真や動画が発信できる「Instagram」の普及や、コンテンツや商品の楽しみ方を自由に発信する「YouTuber」への支持は、生活者が多様な楽しみ方の発信者でもあることを示しています。



2)明るいマニア化

 2016年後半にSNS上で一気に火が付いた「PPAP」は、それをまねして動画をアップする人の動きで、瞬く間に広がりました。今や「ハロウィン」の定番となったコスプレや特殊メークも、一般の生活者が本格的に作り込んだものが「Instagram」などにアップされるようになった影響が大きいと言えます。また、「ポケモンGO」でレアなポケモンを探すために、老若男女がディープに情報を収集したり、アニメや映画の舞台を歩く聖地巡礼をしたりといった行動が、ごく普通の消費行動となりました。自分なりの楽しみ方を見つけるために、生活者は“明るいマニア”的に行動していると言えるでしょう。



3)脳内ミックスド・リアリティー

 「ポケモンGO」は、スマートフォンを通じて現実世界にポケモンを登場させ、さまざまな場所に実際に足を運んで捕まえる新しい楽しみ方が、大きな話題となりました。「シン・ゴジラ」や「君の名は。」に登場する街並みのリアルさは、映画と現実がまるで地続きであるかのような体験を人々に提供しました。生活者は、映画やゲームの中のバーチャルな世界を通じて、現実世界をより楽しく、色彩豊かなものとして楽しんでいます。



4)ミラクルチーム愛

 「リオデジャネイロ・オリンピック/パラリンピック」では、陸上の男子400mリレーや卓球の女子団体、女子バドミントン高松ペアのメダル獲得、「7人制ラグビー日本代表」のニュージーランド戦での勝利といった、驚くべきチームの活躍が話題になりました。個々の選手以上に、チームが力を合わせることで、大きな力を発揮する姿に生活者は勇気づけられました。「広島東洋カープの優勝」では、選手とファンが一体となり、広島全体を巻き込み盛り上がることで、日本中が歓喜にあふれました。水泳の萩野選手や広島の黒田投手といったスタープレーヤーがチーム愛を見せることで、生活者がその雄姿をさらに応援するといった光景も見られました。このように、個々人に対する応援以上に、チームパワーを応援することが人々の楽しみとして広がりました。



5)リバイバルのリバイタル

 40年にわたって連載された「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は、常に最新の話題を連載の中に取り込み、新鮮な印象をもったまま、最終回を迎え、40年の歴史が顧みられました。赤塚不二夫のおそ松くんを、六つ子のキャラクターを立たせて深夜アニメにリニューアルした「おそ松さん」や、三谷幸喜が真田信繁の生涯に新鮮な視点を吹き込んだ「真田丸」、主婦雑誌「暮しの手帖」の創業をテーマにした「とと姉ちゃん」といった、昔からなじみのある題材を扱った作品や商品が多く登場しました。長く知られた商品やコンテンツも、核となる部分は保ったまま、細部まで作り込まれたことで、若者の支持やネット上での話題を得られるようになり、再び多くの人からの評価を得ました。





3.「コンテンツ・スタイリング」消費が進む2016年

 「楽しみ方のダイバーシティーが加速」「明るいマニア化」「脳内ミックスド・リアリティー」「ミラクルチーム愛」「リバイバルのリバイタル」といった消費のムーブメントは、生活者と商品やコンテンツ、さらには企業との関係性の変化を表すものになってきています。

 かつて企業と生活者の関係は、企業が商品やサービスを提供し、生活者がそれを享受するという一方通行の関係にありました。しかし、SNSの普及で生活者同士のつながりや情報共有が進展した結果、生活者は商品やサービスを、提供者の思惑を超えて、自由に使い、楽しむようになりました。

 また、楽しみ方の幅が広い商品やサービスほど、それを支持する人が増えるため、企業は作り込みやこだわりに注力し、より丁寧かつ緻密に提供するようになりました。時に企業は、生活者が発見した新しい楽しみ方を積極的に取り込み、自らの強みにもするようになりました。

 その結果、「企業」「生活者」と「その仲間」の間で、楽しみ方を探り、作り、拡大する「Win-Win-Win」の関係が構築され始めています。

 「商品やサービス」は、生活者の求めに応じて変わり続ける“コンテンツ”と化し、生活者の支持を得ながら、発展・進化していくようになりました。

 生活者は自分に合った「商品やサービス」を、自在に自分の使いたいように組み合わせて、その使い方を共有することで、商品やサービスを進化させています。

 2016年は、生活者と消費の関係が一方通行から脱却し、双方向で進化する「コンテンツ・スタイリング」消費が進んだ年であると言えます。





 2017年は、コンテンツ化した商品やサービスがより一層、生活者の消費の奥深くまで入り込んでいきます。テクノロジーの進展がさらに新しい視点を生活者に提供することでしょう。そして、企業と生活者の新しい関係性は、ますます消費を発展させていくことでしょう。



以 上



【話題・注目商品2015調査の概要】

・調査対象 : 全国、15~69歳男女個人、2,000名

・調査時期 : 2016年10月29日(土)~10月31日(月)

・調査手法 : インターネット調査

・調査会社 : 株式会社 ビデオリサーチ

・調査内容 : 120の商品・サービスのそれぞれに対して、「今、流行っている」「今後、流行る」

「流行っていないし、今後も流行らない」「知らない」で質問



【本レポートに関する問い合わせ先】

 株式会社電通 コーポレート・コミュニケーション室 広報部 TEL:03-6216-8041



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 電通総研『話題・注目商品2016』レポート