介護認定を受けて要介護の判定が出ても、介護サービスを利用した分だけ利用額の1割または2割の自己負担額が発生するのですから、楽だからといって介護サービスに頼りすぎることも実際にはできませんよね。
介護する側の家族の負担が軽減されますが、闇雲に介護サービスを乱用していてはすぐに一か月の利用限度額をオーバーしてしまいます。
また、思っていた以上に自己負担金が発生し金銭的な負担の軽減が中々出来ないケースもあります。
今回は在宅介護をする場合、介護保険サービスをどのように使うのが良いのかをみていきましょう。
一か月に利用できる介護保険の限度額
介護度が認定され介護保険を利用できるようになっても、無制限に利用できるわけではありません。
各認定区分によって一か月に利用できる介護保険の上限が違ってきます。
居宅サービスの利用限度額は以下の通りです。
介護給付・予防サービス
・ 要支援1 … 5万30円
・ 要支援2 … 10万4,730円
介護給付・介護サービス
・ 要介護1 … 16万6,920円
・ 要介護2 … 19万6,160円
・ 要介護3 … 26万9,310円
・ 要介護4 … 30万8,060円
・ 要介護5 … 36万650円
限度額の範囲内であれば1割を自己負担することで利用できますが、一定以上の所得がある方は2割負担になります。
限度額を超えた場合は全額自己負担となるので注意が必要です。
在宅介護で利用するサービスは、この金額の範囲内で行う事が多いです。
ケアマネージャーもケアプランを作成する場合はこの金額をオーバーしないように作成するよう心がけます。
人員的な部分での介護を一番優先したい
様々なサービスが存在し介護に困っている家族からすると、どれも魅力的ですぐに利用したくなるものばかりだと思います。
しかし、全てを利用していては限度額がすぐに越えてしまう可能性もあります。
日中、仕事で家族の介護をする事が出来ない場合は通所介護を優先して利用するのが良いでしょう。
通所リハビリや、デイサービスなど、本人に合ったサービスをケアマネージャーと選ぶ事が大切です。
また、独居の場合や高齢の夫婦2人暮らしの場合は訪問介護サービスの利用も有効的です。
通所ですと週に何回利用したいのか、訪問ならば週に何回何時間来て欲しいのかをケアマネージャーに伝えましょう。
利用するサービス事業によって金額が若干異なりますので、希望する日数や時間を具体的に伝えると詳しい金額を知る事ができます。
家具や福祉用具をレンタルしたい
それまで利用していた寝具が身体的な問題で利用できなくなり電動ベッドを導入する場合や、歩行が困難になり車椅子が必要になった場合などは、自費で購入を考える前に必ず介護保険でのレンタルを考えてみてください。
介護は毎日のことですが、身体の状況も良くなったり悪くなったりしますし、何よりいずれ介護が終われば不要なものになってしまうわけですから、無駄にならず手ごろな費用でその時必要なものが用意できたら嬉しいですよね。
料金はレンタルする介護用品によって様々です。ケアマネージャーに相談すると、福祉用具のカタログなどを見せてもらえます。
また、福祉用具の担当者から事前に詳しい説明も聞くことができるので、困りごとはお早めに積極的に相談することが一番です。
車椅子や介護ベッド、歩行用の杖や歩行器、設置タイプの手すりや浴室介助用の簡易リフト、段差解消の工事不要な設置型スロープや、体位交換用のマットなど、どれも日常生活の助けになるものばかりです。
介護ベッドと言っても様々な物があり、安価なものから高額なものまであります。
それぞれ機能や操作の仕方も違い、サイズなども異なる場合があります。車椅子も、住宅の導線と本人の体型に合ったものが必要です。
自走しないのであれば、タイヤの小さな介助用車椅子が便利です。利用頻度が少ないのであればコンパクトに折りたためるタイプも良いでしょう。
現在の住居に合った寸法や、操作する人間がすぐに覚えられるのか、利用する側にとって使い勝手の良い物なのかを確認しましょう。
また、入浴用の福祉用具の一部部品や排泄に関する福祉用具はレンタルではなく購入の対象となる場合が多いです。
この場合は、償還払いという一度全額支払った後に福祉用具購入費の助成金などの制度を利用し、9割(8割)分を返還してもらうこともできます。
償還払いについてもケアマネージャーと相談しながら手続きを進めていきましょう。
それ、本当に必要ですか?
あれもこれも便利だから借りたい! そう思うのはとてもよくわかりますが、まずは落ち着いて必要最低限のレンタルから始めてみましょう。
福祉用具に頼りすぎるのは、家族の負担は減りますが本人の日常動作でのリハビリの機会を奪ってしまう可能性もあります。
例えば、杖や歩行器があれば転倒の可能性を減らしてお手洗いに行く事ができるのに、ポータブルトイレを設置することで歩行の機会を奪ってしまう事もあります。
レンタル品の追加や利用停止はいつでもできますので、無理なく怪我のない生活を根底に、ケアマネージャーや福祉用具専用相談員と良く相談しながら導入していきましょう。
安価な介護用品で使用頻度が高い物などはレンタルではなく購入を検討するのも良いでしょう。
杖などは様々なデザインのものがあり、ファッション感覚で日替わりで利用されるかたもいらっしゃいます。ちょっとした外出の楽しみにもなり、日常生活のよい刺激になったりもします。
まとめ
身近に同じような介護の状況の方が居る場合は情報交換をしながら利用するのも良いでしょう。
介護保険の利用上限額の範囲内で本当に必要な物やサービスを上手に選んで行く事が大切です。(執筆者:佐々木 政子)
情報提供元: マネーの達人