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イェンヌ・ダムベリ著、久山葉子訳の『脂肪と人類:渇望と嫌悪の歴史』(新潮選書)が、2024年1月23日に新潮社から刊行されます。この書籍は、脂肪をめぐる人類の歴史を多角的に探る一冊です。
かつて脂肪は人類にとって命そのものでした。祖先たちは肉よりも脂肪たっぷりの骨髄や脳、内臓を求めて狩りを行い、貴重な油脂は神への捧げ物としても利用されてきました。しかし、近年では脂肪が忌避される栄養素となった背景には何があるのでしょうか。
著者のダムベリは、世界各地を訪れ、伝統的な脂肪料理を味わい、神話における乳の役割を調査し、酪農や畜産の歴史にも迫ります。さらに、味覚や健康への影響といった科学的側面からも脂肪を分析し、油脂の評価がロビー活動によってどのように変遷してきたかを描き出します。
本書では、脂肪の知られざる歴史から世界の脂肪料理まで、驚きに満ちた内容が展開されます。例えば、脂を食べたサルがヒトに進化したという仮説や、縄文土器が魚を茹でるための壺であった可能性、宗教改革の原因がバターにあったという説など、興味深いエピソードが満載です。
また、マーガリンの生みの親がナポレオン三世であることや、ダイエットを広めたのが葬儀屋であったという意外な事実も紹介されています。さらに、ヴァイキングが発酵サメを食べる理由や、サーミが珍重する「老人のソーセージ」、ウクライナ人が愛する「サロ」の味わいについても触れられています。
価格は2,200円(税込2,420円)で、ISBNは978-4-10-603921-8です。
詳細は公式サイトでチェックしてください。