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働き方の多様化により、従来よりも転職活動が活況となっています。
その場合、避けて通ることができない論点として保険証が変わることです。
保険証が変わる場合、当然手続きが必要となるため、一定期間手元に保険証がないということも起こります。
今回は手元に保険証がない場合の取り扱いについて解説します。
保険証が手元にない場合には、多くの医療機関でいったんは全額を支払わなければなりません。
しかし、これは一定の手続きを踏むことによって事後的に精算が行われますので、全額を納付したままという事はありません。
具体的には「療養費」の請求を行います。
これは入社等により健康保険の加入資格はあるものの、物理的に保険証が手元になく、医療機関等で健康保険加入者であることを証明する術がない状態であるがゆえに、いったん医療費の全額を支払った後に本来納めるべき以上の保険料の返還を受けるための手続きです。
療養費の請求書には添付書類も必要です。
まずは診療内容が記載された明細書です。
これはいつ、どのような診療が行われたのかが記載されている書類です。
他には、当該診療に要した費用の証明書にあたる領収書です。
誤って保険証を使ってしまった場合も療養費の請求対象です。
例えば、国民健康保険や他の保険者の保険証を使用してしまったために医療費の返還をした場合です。
この場合、添付書類として保険者から交付された診療報酬明細書と領収書が必要です。
または、限度額適用認定証が手元になかったがゆえに、入院時の食事の標準負担額を減額されない金額で支払った場合も療養費の対象となります。
療養費の請求は、年金の請求と同様に、請求しなければ自動的に振り込まれるという事はありませんので、必ず請求行為を起こす必要があります。
日常生活を離れて、旅行中に保険証を忘れてしまったものの、医療機関を受診しなければならない場合や、近くに保険医療機関がなかったため、やむを得ず保健医療機関ではない医療機関で自費診療をした場合について、やむを得ない理由があったと認められれば療養費は支給対象となります。
日本国内を出て、海外旅行中や海外赴任中に病気や怪我によってやむを得ず現地の医療機関で受診するケースもあるでしょう。
このような場合、医療機関で診療を受けたと認められる場合には、療養費の請求によって、一部、医療費の払い戻しを受けることができます。
海外療養費の対象となるのは、あくまで日本国内で保険診療として認められている医療行為に限定されます。
美容整形やインプラントなど日本国内で保険適用とはなっていない医療行為や薬については給付の対象にならないため、注意が必要です。
また、治療や療養を目的で海外へ渡航し、診療を受けた場合については、支給対象となりません。
また、そもそも日本で実施されていない診療を受けた場合も、給付の対象にはなりません。
日本国内の医療機関等で、同様の傷病を治療した場合にかかる治療費等を基準に計算した額となります。
また、実際に海外で支払った額の方が低いときにはその額が基準となり、当該額から自己負担相当額を差し引いた額が支給対象となります。
また、日本と海外では医療体制や治療方法等も異なる事は珍しくなく、海外で支払った総額から自己負担額を引いた額よりも支給金額が大幅に少なくなるという現象も起こりえます。
外貨で支払われた医療費にも確認します。
この場合、支給決定日の売りレートを用いて円に換算し、支給金額が算出されます。
療養費の請求は、転職時や旅行等で手元に保険証がない場合に起こり得るケースが多いでしょう。
そのような場合は頭に入れておきたい制度です。