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厚生年金から支給される老齢厚生年金は、報酬によって年金の全部または一部が支給停止される「在職老齢年金」があります。
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在職老齢年金はいわゆる高報酬層に位置する被保険者には、切っても切り離せない論点であり、避けて通ることができません。
在職老齢年金は毎年度見直しが行われ、令和6年度も例年同様に見直しが行われています。
今回は令和6年度の在職老齢年金について解説します。
在職老齢年金の前提として、厚生年金に加入している被保険者であることが前提です。
近年は働き方改革の流れによって、複数の事業所で勤務すると言うケースも少なくありません。
そのような場合であっても、在職老齢年金の年金カットの対象となる報酬は、厚生年金に加入している事業所の報酬に限定されます。
言い換えると、厚生年金に加入していない事業所からの報酬はカットの対象にならないということです。
基本月額と呼ばれるいわゆる年金部分(老齢厚生年金)と、
総報酬月額相当額と呼ばれる報酬部分(前述の通り、厚生年金に加入している事業所からの報酬と賞与)
を合わせて50万円を超えた場合に、超えた部分の半分の年金をカットすると言う仕組みに改正されています。
なお旧来は50万円分の部分が48万円でした。
近年は最低賃金の上昇も相まって、賃金が上昇傾向にあり、このような改正に至っているものと考えられます。
言葉を選ばず申し上げると、「報酬をもらいすぎてしまうと年金はカットされる」と言うイメージが先行していると考えられますが、昨年度よりもカットの基準額が上がっているため、これまでと全く同じ報酬を受けていたとしても、カットされないあるいはカットの幅が少なくなるということが考えられます。
当然、保険者目線では有利な改正となるため押さえておきたい論点です。
老齢基礎年金は、在職老齢年金の対象ではありません。
あくまで在職老齢年金とは、厚生年金保険法に規定された制度であるため、国民年金法に規定されている老齢基礎年金は、在籍老齢年金の対象とはなりません。
厚生年金に加入できるのは70歳までですが、70歳の前後を通して同じ事業所で働いている場合には、厚生年金の資格を喪失するものの、引き続き、在職老齢年金の対象者であることには変わりがありません。
例えば70歳前後を通して高額な報酬を受けていると仮定しましょう。
その場合、給与明細上では70歳到達を契機に厚生年金の保険料が引かれなくなるものの、在職老齢年金の制度の適用は引き続き継続となるため、老齢厚生年金の全部または一部の減額が終わると言う理解にはなりません。
もちろん給与明細上では、社会保険料の中でも最も高額な保険料である厚生年金保険料がなくなることによって、手取り額は上がることでしょう。
ただし、70歳前後を通して全く同じ報酬を受けていた場合には、保険料が引かれなくなったとしても、年金が全額支給されるようになるということは多くの場合、誤解となります。
在職老齢年金の改正は毎年度実施されており、昨年の大きな改正は令和4年4月からの改正でした。
令和4年3月以前は、65歳未満の在職老齢年金のカットの水準となる限度額は48万円ではなく、28万円とされていました。
60歳定年制と言えども、60から65歳の間では、旧来よりも元気に働くビジネスパーソンが少なくありません。
よって28万円でカットとなると、多くの方がほとんど年金はもらえない。
あるいは就労調整をしてしまうという、本末転倒と言わざるを得ない結果になっていたことから、65歳以降と同水準になる48万円に改正されたものと考えられます。
在職老齢年金によって年金がカットされてしまうのであれば、
「労働時間等を短くして報酬額を減らし、年金の受給した方が良いのではないか」
という考え方も多く聞こえてきます。
もちろん社会保険料の中でも最も高額な厚生年金保険料を長期間納めてきたにもかかわらず、本来受給開始となる年齢に到達しても、全く年金が支給されないとなれば、何のために保険料を納めてきたのかという考えになっても、やむを得ないものと推察します。
他方、老後の年金とは、長生きというリスク自体に備えた老後の所得保証と言う考え方があり、一定以上の報酬を得ている間は、一般的にはよほど浪費をしない限り生活に困窮すると言う事は考えがたく、年金財源も無限にあるわけではないことから、一定の水準で年金の支給の停止を行っているという整理ができます。
どのような制度であっても、制度を賢く理解し、その制度が自身に合致する時期から逆算し、制度と向き合うことが大切です。
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