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「増税メガネ」と揶揄された岸田文雄首相が、汚名返上のために打ち出した「減税」が裏目に出て、支持率21.3%。
政権復帰以来最低の数字となりました。
支持率アップのために「減税」を打ち出したのに、逆に支持率が下がるというのは考えられないことですが、この「減税」の先には大増税が待っているということを、すでに多くの人が見抜いているからでしょう。
総理は、税収が上がったので国民にこれを還元するといいますが、鈴木財務大臣は、金がないのに減税するのだから国債(借金)を発行せざるをえない」と、将来の増税を強く意識させる発言をしています。
ここでひとつ、大きな疑問があります。
それは、たかだか国民1人に4万円の減税をするのに、借金をしなくてはならないほど日本は貧乏なのかということ。
お金はあっても、いっぽうで途方もない無駄遣いをしているために足りなくなっているのです。
この記事の注目ポイント
*マイナ保険証には、すでに2兆円使っているが不便で使われてない
*派手にアピールしたいために予算を増やしたが使い切れない16兆円
*電気、ガス代の高騰対策の予算はいくら?
「便利」が売りの「マイナ保険証」。
けれど、便利さを感じる人は減り続けて利用率が毎月落ち続け、4月調査の6.3%から10月には4.49%と、約3割も下がりました。
しかも、ほとんどの病院が、「マイナ保険証」など役に立っていないと思っています。
厚生労働省の調査では、患者の同意を得て薬の処方歴などの情報を閲覧する仕組みを「活用している」と回答した病院は約3割の29.6%。
残り約7割は「活用していない」。
「活用している」と答えた3割の病院でも、患者にとっての利点を複数回答で尋ねたところ「特にない・分からない」が最多の51.1%。
9割近い病院が、便利さを感じていないということです。
多くの人や病院が「便利」だと思っていないなら、「便利」にすることに税金を使うのが筋というもの。
ところが、政府がやろうとしているのは、驚くべきことに、利用率が増えた医療機関には支援金を配るという、金で横っ面をひっぱたく政策です。
そのため、11月10日に閣議決定した2023年度補正予算に、
「マイナ保険証の利用促進・環境整備」に887億円
「マイナ保険証の取得環境の整備等」に899億円
合計1,786億円
を盛り込みました。
「マイナ保険証」では、これまで2兆円のお金が使われていて、私たちは一軒あたり4万円以上の税金を払っていることになります。
「不便」なので利用率は下がり、お医者さまも嫌がっている。
これでは、みすみす税金をドブに捨てていることになります。
税金をドブに捨てているといえば「基金」も同じような状況になってしいます。
「基金」というのは、単年度ではできない複数年にわたって使っていくお金ですが、その「基金」がやたらに乱立していて、使われないお金が毎年4兆円規模で増えているのです。
根拠の乏しい「基金」に国がどんどんお金をつぎ込むものだから、なんとトータルで16兆円も使い残しになっている。
たとえば、AI(人工知能)や量子技術など先端技術の研究開発につくられた「経済安全保障重要技術育成基金」は、21年度、22年度の補正予算で約5,000億円が計上されました。
このうち2年間に使われたのが5億6.600万円。
本来なら、研究のために使うべきお金ですが、大半は国立研究開発法人に支払われる管理費などに使われ、研究費に使われた形跡なし。
なぜ、こんなことになっているのかといえば、もともと1,000億円くらいの規模で考えていたのに、経済に力を入れていることをアピールするために「派手にやろう」という意向で5,000億円まで予算を膨らませて、無理やり確保してしまったから。
同じような構造で、「グリーンイノベーション基金」も、22年、23年度に総額は2兆8,000億円の予算がつきました。
22年度末までにこの基金から支出されたのは3年間で計約700億円。
この先2兆円以上の巨額出費が予定されているというなら話は別ですが、そんな大きな出費予定はないまま、ただただ「基金」にお金が積み増されている状況。
緊急経済対策で「基金」に積み増されるのはなんと4兆3,000億円。
目玉政策であるはずのガソリン、電気、ガス代の高騰対策として支給される補助金は約8,000億円。
それも、企業への補助金ですから、ダイレクトに家計を潤すとは限りません。
結局、誰の懐を潤す経済対策なのかわかりません。
こんな状況で「金がない」というなんて、あまりに国民をバカにしていると思いませんか。