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一定の理由で離職した場合には「特定理由離職者」や「就職困難者」として、自己都合退職とは別の区分となります。
失業保険の受給にあたっては、自己都合退職の場合と比べて一定のメリットがあります。
これから失業保険を受給する方にとっては大きな問題であり、おさえておきたい論点と言えます。
今回は失業保険を受給するに際しての、特定理由離職者と就職困難者について解説します。
「やむを得ない正当な理由による自己都合退職」
と認められた場合には、通常の自己都合退職とは別の区分である「特定理由離職者」として認定される場合があります。
これは、 本人は就業意思があるにもかかわらず、やむを得ない事情で就労が難しい状況にあると認められた場合に決定されます。
では、具体的にどのようなケースが該当するのでしょうか。
範囲としては複数の種類があるものの例えば、体力の不足や心身の障害によって離職した場合が挙げられます。
特定理由離職者は言い換えると正当な自己都合退職と解され、自己都合退職の場合に課される失業保険の給付制限期間(原則として2か月であり、端的には失業保険が受給できない期間)がありません。
給付制限期間がないことはメリットであることは間違いありませんが、「心身の障害」の場合、ここで特定理由離職者と決めつけるのはよくなく、さらに、「就職困難者」という区分もあります。
障害者等であり、社会的な事情等により一般的に就職が困難である者の場合には、失業保険の給付日数が自己都合退職等と比べて多くなります。
具体的には、
障害者手帳を有している場合や、
一定の障害や疾病の場合には障害者手帳がなくても医師の意見書であっても認定を受けることが可能です。
よって、障害者手帳がないからと言って就職困難者と認められないということはありません。
もし、自身が一定の障害や疾病を患った場合、
いきなり退職を考える必要はなく、会社に活用できる制度がないかの検討
が望まれます。
例えば休職制度として、当該休職期間中は給与の支給はなくなるものの、一定期間就労が免除される制度が設けられている企業は少なくありません。
もし、その期間中医師から労務不能の証明がもらえる場合は、健康保険に加入していれば傷病手当金の受給可能性もあります。
また、休職期間を満了後、以前と同じ勤務時間で働くことが体力的に困難と言うことも想定されます。
そのような状況下では契約形態を変更し、短時間勤務という形で労務提供するという選択肢もあります。
もちろんその分の賃金低下は否めませんが、退職によって全く賃金がなくなってしまうよりは生活に与える影響は限定的と言えます。
もちろん、近年は働きながらであっても就労にあたって制限を受けている場合には、障害年金を受給しながら働いているというケースもあります。
少なくとも、働いていたら障害年金はもらえないとういことはありません。
さまざまな社会保険制度や会社の制度を活用し、人生100年時代において、可能な限り長く働ける選択肢を模索することが望まれます。
特に医学の発展によって、平均余命は延びる傾向にあることから、可能な限り社会保険に加入しながら働くことで、並行して老後の資産形成も推し進めることが可能となります。
特定理由離職者や就職困難者とは、一般的にはあまり聞きなれないキーワードと思われます。
特に近年は外見からは容易に判別し難い精神疾患等によって継続就労が困難となった場合は、一定期間失業保険の給付を受けながら生活せざるを得ない状況に直面することもあるでしょう。
そのような場合には自己都合退職とは別の区分があり、受給者目線においてもメリットとなる制度があるのでおさえておきたい論点です。