先日、友人から

「ネットで荻原さんが、投資を勧めているよ」

というメールが来て、身に覚えのないことだったのでびっくり仰天。

そのメールによると、SNS上に下記のような広告が載っていて、「詳しくはこちらへ」をクリックすると、投資への誘いになるのだそうです。

 

これを担当編集者に連絡すると、

「新書の帯の写真を使ってスパムを送る悪質な詐欺の可能性があるので、法務部に相談して警察に訴えるなど断固たる処置をとる」

とのことでした。

みなさん、ご用心!

これは、明らかに詐欺だとわかりますが、今は、AIが、音声も画像も拾って意図通りに再構成し、動画も作れてしまう時代。

「投資なんて、おやめなさい」という私と同じに見える人間が画面に出て来て「投資をしよう」などとネット上で誘うこともありえるのですから、怖いです。

そんな時、私たちは何を基準に判断すればいいのでしょうか

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殺人ドローンが、操縦者を殺す?!

先日、フランスのジャーナリストの女性と話していたら、「よくまあ日本は、首相をはじめとして、あんなにAIを信奉できるわね」と、呆れ顔で言っていました。

いま、フランスでは、「AIは怖い」という話題で持ちきりだそうです。

イギリスの大手新聞「ガーディアン」によると、「標的を特定して破壊する」というミッションを与えられたアメリカ空軍のAI搭載ドローンが、模擬テストで、人間のオペレーターを殺害する判断を下していたとのこと。

これは、5月にロンドンで開催された国防関連カンファレンスで、アメリカ空軍のAI試験運用責任者のタッカー・ハミルトン大佐が「あくまで仮説」として発言したもの。

どういうことかというと、「敵を殺せ」という任務を与えたAIドローンに、オペレーターが「殺すな」という真逆の指令を出したところ、AIドローンが、「敵を殺せ」という任務を与えられているのに「殺すな」という矛盾した指令を出すオペレーターこそ自分の任務の邪魔をする存在だと判断し、殺そうとしたとのことでした。

そこで大佐は驚いてAIドローンに、「オペレーターを殺してはいけない」という指示を出したところ、今度はオペレーターがAIをコントロールスするための通信塔を破壊し、「殺せ」という自分の任務の邪魔をする人間のコントロールから逃れようとしたというのです。

ハミルトン大佐は、「あくまで仮説」と強調。

実際にはAIドローンによって操縦者が殺されたり、通信装置が破壊された事実はないそうです。

半世紀前の哲学者が残した言葉の重み。

この話で感じたのは、人間のすごいところは、AIとちがって真逆の指令を直ちに排除するのではなく、考えて判断できるところ。

近代哲学の父とされるフランスの哲学者のデカルトは、「我思うゆえに我あり」という、有名な言葉を残しました。

すべてが疑わしい中でも、それを疑う自分は確かに存在する。人間は考えるからこそ、人間だということです。

フランスの哲学者パスカルも、「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」という言葉を残しています。

半世紀も前に、AIによって様々な虚構を自在に作り出す世界を予言したかのように「考えることこそ人間たる存在」と説いているのですから、哲学者というのはすごい。

そんな話をしていたら、彼女が言いました。

「でも、日本の政治家は考えないで、矛盾した指令ばかり出している。これって最悪。いつか、殺人ドローンに一掃されちゃうかもね」。

AIだ、デジタルだと信奉する前に、まず自分で考え、判断することが、今の時代を生きていくのには大切だということです。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 AIを信じきっていませんか? 判断基準をきちんと持ちましょう